青空文庫のおすすめは?『短編・長編・海外』これは読書好き女性に最適!
ボランティアの方のご尽力により、著作権が切れた作品を無料でパソコンやスマホアプリで閲覧することができるおすすめの「青空文庫」。青空文庫には2018年1月現在14,579件の作品があります。そんな青空文庫よりおすすめの作品をご紹介します。
目次
- 完全無料なのに充実!「青空文庫」って?
- おすすめしたい!青空文庫の短編・長編・海外作品
- 人気作家太宰治の作品も読める
- 宮沢賢治の短編・長編作品も豊富に収録
- 少し珍しい芥川龍之介作品
- 美しい日本語に感動!森鴎外作品
- 「桜の下には死体が」でおなじみの坂口安吾作品も
- 有名作品以外の夏目漱石作品も読みたい
- 小林多喜二作品で労働について考える
- 泉鏡花の美麗な文体に触れる
- 人間が虎に!中島敦作品
- 海野十三のSF作品がスゴイ!
- 宮崎アニメに関する作品も読める
- 日本三大奇書の長編も完全収録
- 江戸川乱歩作品も続々青空文庫化
- 人気の谷崎潤一郎も充実のラインナップ
- たくさんの民話で民俗学の勉強も
- 推理小説の名作も収録
- 吉川英治の大長編もしっかり読める
- リライト作品を読み比べる楽しさも
- ゾッとする怪談・怪奇小説も充実
- 衝撃的すぎる書き出しの海外作品
- あの感動アニメの原作を読んだことある?
- 海外の童話作品は読み聞かせにも使える
- 人気のシャーロックホームズ登場作品も
- 海外文学一番人気作品
- 話題のアプリゲームがきっかけに人気
- 大人として読んでおきたいシェイクスピア
- 海外ミステリの名作も充実
- 青空文庫にはおすすめ作品がたくさん!
完全無料なのに充実!「青空文庫」って?
「青空文庫」をご存じですか?青空文庫とは著者の死後一定期間経ち、著作権が消失した作品を中心に、ボランティアの方がテキストをデータ化して校正後アップされたデーターベースです。文学を中心に2018年1月現在14,579件の作品が収録されています。著作権が消失している、著作権を手放している、または著作権者が許可を出している作品ばかりなので閲覧が合法かつ無料です。
スマホ普及前はパソコンでの閲覧が主でしたが、最近は公式を含めて多数の青空文庫閲覧アプリケーションが開発されています。有料無料さまざまで、有料版は広告が消せる、読み上げ機能がある、背景色や文字色や大きさが変更できるといった機能追加が一般的です。
「やっぱりお気に入りの本は紙じゃないと」「電子では読みづらい」という方に青空文庫を印刷した書籍も発売されています。書籍版には3種類あって1つは22ポイントの大きなフォントを使った「大活字版」、次に大きめのフォントで老眼ぎみの方には嬉しい「シニア版」さらには持ち運びやすいポケットサイズ「ポケット版」があります。
青空文庫アプリのおすすめ作品を頭から順番に読んでいたら太宰治続きになったけどそれももう終わり。次は注文の多い料理店。
— 林童あざみ (@hikoukujira) October 6, 2017
文豪をキャラとして登場させる「文豪ストレイドッグス」の大ヒットにより、若い女子が文学知識を求めて青空文庫を読むケースが増えています。好きな作家ばかりを探して読むと読書の幅が広がらず、広い知識が身につかないことから作家「あ」から順にチャレンジしている方が多いようです。あっぱれな学習意欲ですね。
おすすめしたい!青空文庫の短編・長編・海外作品
青空文庫のデーターベースには小説・随筆を中心に読みごたえがある作品が揃っています。変わった文献としては「すぐ燃やしてくれ」と芥川が懇願したにもかかわらずデーターベース化された芥川龍之介自身の遺書もあり、話題になりました。しかし今回は短編・長編・海外作品にしぼって、おすすめを中心にご紹介します。

人気作家太宰治の作品も読める
青空文庫に273作品公開されている太宰治
芥川龍之介、夏目漱石、宮沢賢治と並び特に日本人に愛されている作家・太宰治。「走れメロス」や「人間失格」は学生時代に読まれた方も多い有名作ですので、ここはあえて少し珍しい作品に挑戦してみるのも良いでしょう。人気があることから、青空文庫では太宰治の作品は短編・長編とともに特に多く収録されています。
おすすめしたい青空文庫作品:嘘
太宰治の短編はいずれも秀逸ですが、「嘘」はコンパクトにまとまった読みやすい短編で男女の嘘の違い、どちらの嘘がおそろしいかなどといった切り口で書かれています。サラッと読めてしまう名作です。似たタイトルで「恥」という作品もおすすめで、こちらは小説家に女性ファンがつき、その女性ファンが赤面ものの、それこそ恥といえるような言動を繰り返す話です。
おすすめしたい青空文庫作品:畜犬談
小説家の方がプロの視点から絶賛するのが「畜犬談」。ちくけんだん、と読み犬に噛まれて入院した太宰の親友・伊馬鵜平に捧げられた作品です。犬を恐れ犬を嫌う主人公は、いつか犬に噛みつかれると妄想します。そうした日々の中、いつしか野良犬に付きまとわれるようになる……といったストーリーです。愛犬家の方にはすすめにくい短編ですが、非常にユーモラスな作品です。
宮沢賢治の短編・長編作品も豊富に収録
人気に比例し作品収録数が多い宮沢賢治
太宰治と等しく、青空文庫に276もの作品がある(2018年1月現在)宮沢賢治。もちろん多作ということもありますが、青空文庫の収録数は需要や人気に比例しているともいえます、テキストを入力してくれるボランティアの方にファンが多いとも考えられますね。短編が多い作家ですので、宮沢賢治にハマると次から次に読み進められ、楽しいひと時が過ごせますよ。
おすすめしたい青空文庫作品:よだかの星
多くの方がベスト短編として挙げるのがこの「よだかの星」です。醜さからいじめられている鳥・夜鷹がある決断をする短編です。読後、実際に夜鷹(よたか)という鳥がいますのでその鳥を図鑑や画像検索で確認する方も多いようです。ネタバレはしませんが、一点だけいうならばハッピーエンドを好み方にはおすすめできません。しかし非常に美しい話です。
おすすめしたい青空文庫作品:銀河鉄道の夜
宮沢賢治の作品でもっとも話が長い長編作品「銀河鉄道の夜」も青空文庫にしっかり収録されています。多くのクリエイターの想像力を刺激し、この「銀河鉄道の夜」を下敷きにした作品が生み出されたことも有名です。ストーリーは不幸な少年ジョバンニが、友人のカムパネルラと銀河旅行に出るといったものです。鉱石や星に詳しい宮沢賢治の表現力が存分に堪能できます。
少し珍しい芥川龍之介作品
おすすめしたい青空文庫作品:あばばばば
教科書などではじめて出会うことが多い芥川龍之介ですが、中にはこんな変わったタイトルの短編小説も。一体「あばばばば」とは何なのか気になりますよね?ネタバレせずにストーリーを解説すると無愛想な店主の店に煙草を買いに来る常連客の男性を主人公とした話です。途中でタイトルの意味に気づきますよ。文字数7,000字程度の短編小説なのでサラッと読めます。
おすすめしたい青空文庫作品:湖南の扇
375作品が収録されている芥川龍之介。その内訳としては、芥川龍之介は長編を書かなかったことで有名ですので、短編小説および随筆や関連作品となります。おすすめしたい短編は「湖南の扇」。このストーリーの面白い点は、主人公が中国旅行中の芥川龍之介自身である点。登場人物として菊池寛なども登場します。とはいえノンフィクションではない面白さがあります。
美しい日本語に感動!森鴎外作品
おすすめしたい青空文庫作品:高瀬舟
軍医にして小説家だった森鴎外。森鴎外の作品も短編・中編・随筆・海外作品の翻訳(森林太郎名義)などをあわせて131本収録されています。おすすめしたい「高瀬舟」は短編小説。高瀬舟とは島流しにあう罪人を運ぶための船の名前です。物語はその島流し船に乗せられた罪人のうち、主人公にあたる護送役の男が罪人の身の上話を聞くことから始まります。
おすすめしたい青空文庫作品:青年
森鴎外の長編小説では「阿部一族」「山椒大夫」「雁」が有名ですが、ここでは少しだけマイナーな「青年」をおすすめします。「青年」は夏目漱石の「三四郎」を意識して書かれたといわれ、三四郎と等しく青春小説です。作家志望の青年が美しい未亡人と出会ったことから始まるストーリーとなっています。当時の作品としては珍しく後にドラマ化もされています。
「桜の下には死体が」でおなじみの坂口安吾作品も
おすすめの青空文庫:満開の森の桜の下
小説自体を読んだことはなくても「満開の桜の下には死体が埋まっていて、そのため桜の花びらが桃色をしている」というネタを含んだ作品を読んだことがある方は多いのではないでしょうか。その元ネタである小説「満開の森の桜の下」を生み出したのが坂口安吾です。短編小説のため、内容はネタバレになりますので控えますが鮮烈なイメージを読者に与えますね。
おすすめの青空文庫:不連続殺人事件
おすすめの坂口安吾の長編小説は、坂口安吾が初めて手掛けた推理小説「不連続殺人事件」です。初めてながらクオリティが高い探偵もので、同時代に探偵もののジャンルを確立させた江戸川乱歩からも高く評価される作品となりました。その内容は、歌川家に集められた29人の男女の愛憎うずまくストーリーとなっています。センスのいいタイトルの意味に気づく、はっとする展開です。
おすすめの青空文庫:復員殺人事件
坂口安吾の最高傑作となりうる可能性もあったといわれている「復員殺人事件」。”可能性”というのは、当時この小説が連載していた「宝石」が休刊の憂き目にあったため坂口安吾自身はこの小説を書くのを途中でやめてしまったからです。その小説を坂口安吾の死後引き継いだのは高木彬光で「樹のごときもの歩く」と改題し完結しています。
青空文庫には「「復員殺人事件」について」というテキストファイルもあります。これは坂口安吾が同連載が中断することになったときに、連載を楽しみにしてた読者のためにしたためた文章です。
有名作品以外の夏目漱石作品も読みたい
おすすめしたい青空文庫作品:倫敦島
「倫敦塔(ろんどんとう)」は夏目漱石の短編小説です。夏目漱石がロンドンへの海外留学中に記した物語ですがエッセイではなく完全なフィクションとなっており、虚実がないまぜとなった独特な空気が流れる作品です。主人公の「余」と共に不思議な倫敦塔見学をしてみましょう。
おすすめしたい青空文庫作品:文鳥
新聞連載作品ですが、長編でなく短編程度の長さの「文鳥」。ひとりの男が文鳥を飼うことによりだんだん可愛らしく思えてくるという日常的小説です。実際に漱石が押し付けられるような形で文鳥を飼う事になった事実を踏まえた作品で、文鳥好きにもそうでない方にも文鳥の描写が可愛らしく、リアルに感じられるでしょう。
小林多喜二作品で労働について考える
おすすめしたい青空文庫作品:蟹工船
ブラック企業やワンオペや、過酷な労働状況についての話が多い昨今の日本。しばらく前にそんな世相に乗じて話題となった長編「蟹工船」も青空文庫で無料で読むことができます。過酷な蟹加工船で働く労働者たちの悲哀が綴られており、労働について考えさせられます。仕事について悩んでいる時などにもおすすめの一冊です。
泉鏡花の美麗な文体に触れる
おすすめしたい青空文庫作品:外科室
流麗な日本語が美しい泉鏡花の作品。泉鏡花の作品でもっとも有名なのが映画化もした短編小説「外科室」ではないでしょうか。美しい夫人が手術時に自らが秘めている秘密をうわごととして口にするのを恐れ麻酔を拒むといったストーリー。青空文庫には旧字旧仮名のいわゆる昔の文体でつづられた小説と、私たちが今日通常使っている新字新仮名の小説の2種類があります。
おすすめしたい青空文庫作品:婦系図
舞台・映画化された泉鏡花のもっとも有名とされる長編「婦系図」も青空文庫に収録されています。翻訳官をつとめるドイツ文学士・早瀬を取り巻く男女の恋愛話で、全編後編と趣を変えながら展開します。翻訳され海外でも高く評価されている日本が誇る名作です。
人間が虎に!中島敦作品
おすすめしたい青空文庫作品:山月記
多くの方が学生時代に教科書などで読んだことがあると思われる短編小説「山月記」。優秀だった男性が虎になってしまうお話に覚えがある方も多いのではないでしょうか?大人になって読むとまた解釈や感想が変わってくるものです。是非中島敦の名作を青空文庫で読み返してみてくださいね。
おすすめしたい青空文庫作品:悟浄出世
中島敦は33歳と短命で亡くなったこともあり、未完の「北方行」をのぞいては長編作品はありません。そのためもう1本、おすすめの短編小説として「悟浄出世」をチョイスしてみました。「山月記」と並ぶ「李陵」をあえてはずしてみましたが、「悟浄出世」は映画「バケモノの子」のモチーフにもなった作品で、悩み多き妖怪・悟浄が主役の哲学的なストーリーです。
海野十三のSF作品がスゴイ!
おすすめしたい青空文庫作品:大脳手術
日本SF作家の最初の人物といわれる海野十三の作品も174本収録している青空文庫。色あせない海野十三の発想力をいつでも楽しむことができます。おすすめしたい短編はその海野十三の作品の中でもインパクトの強いタイトルの「大脳手術」。1945年の作品とは思えないほど的確に、現代医療をとりまく問題に警鐘を鳴らすかのようなストーリーです。
おすすめしたい青空文庫作品:浮かぶ飛行島
長編「浮かぶ飛行島」は少年向けの小説として一世を風靡した作品です。ジャンルとしては若いながらも大尉の地位にある青年が、日本のピンチを救うために活躍する長編の軍事小説です。ある種の時代性には共感できないものの、スカっとした読後感があります。この作品で海野十三は人気小説家の地位を確固たるものにしました。
おすすめしたい青空文庫作品:怪塔王
海野十三の初の長編小説「怪塔王」は小学生向けのSF作品です。小学生向けといっても独創性や想像力に富んだ海野十三の筆力がおおいに楽しめるストーリーです。中学生の兄妹とその叔父にあたる探偵が「怪塔王」という悪と対峙するといったあらすじです。
宮崎アニメに関する作品も読める
おすすめしたい青空文庫作品:風立ちぬ
宮崎駿監督作品で、「シンゴジラ」「エヴァンゲリオン」の監督でおなじみの庵野秀明が主人公の声優を担当して話題となった「風立ちぬ」が着想を得たとされる作品も青空文庫で読むことができます。希代の飛行機設計者である堀越二郎の生い立ちを詳しく読んでいくことができます。
2013年に公開された映画「風立ちぬ」ですが、宮崎駿が着想を得た書籍「風立ちぬ」とはさまざまな点が異なります。見比べてみると楽しいでしょう。
日本三大奇書の長編も完全収録
おすすめしたい青空文庫作品:ドグラ・マグラ
奇才・夢野久作の長編「ドグラ・マグラ」は日本三大奇書の1つとして数えられ、もちろんそんなことはありませんが昔から「読むと頭がおかしくなる」という噂がたっていることでも有名です。その「ドグラマグラ」は文庫版では上下巻に分かれた長編ですが、青空文庫で読むことができます。大学の精神病院に閉じ込められた「私」を主人公にストーリーは展開します。
おすすめしたい青空文庫作品:犬のいたずら
非常に短い短編小説「犬のいたずら」は、長編でも短編でも巧みな夢野久作の才納が堪能できる作品です。犬と猪が、犬のこどものいたずらについて話すだけのストーリーですがウィットに富んでいてさまざまな教訓が詰まっています。
おすすめしたい青空文庫作品:瓶詰地獄
夢野久作は中毒性があるようで、SNS上では一度夢野作品を青空文庫で読み始めると全収録作品に目を通す方が多く見受けられます。そんな方々がよく「すごすぎる」と感想を口にされるのが短編「瓶詰地獄」です。ある村の海岸で見つかったという3通のボトルメッセージから構成され、そのストーリーの展開力には舌を巻くでしょう。
江戸川乱歩作品も続々青空文庫化
おすすめしたい青空文庫作品:二銭銅貨
2016年に著作権が切れてからというもの、矢継ぎ早に次から次に青空文庫に登録されつづけている江戸川乱歩。今でいうBL要素があるため女子に人気の「孤島の鬼」は現在(2018年1月)はないものの、63作品の長編・短編を楽しむことができます。おすすめの「二銭銅貨」は江戸川乱歩のデビュー作品にあたり、3章で構成された推理小説です。
おすすめしたい青空文庫作品:怪人二十面相
少年向けとして人気の「怪人二十面相」シリーズも多数収録されています。ご存じ明智小五郎と小林少年の探偵小説で、読む順番が気になりますが特に通し番号はふられていません。第1作目の「怪人二十面相」を読んだら、あとは特に順番にこだわらなくても意味はわかるようです。今後も月に2作づつ更新予定という江戸川乱歩作品の充実が楽しみですね。
おすすめしたい青空文庫作品:人間椅子
青空文庫の江戸川乱歩作品で一番人気は「怪人二十面相」で、この「人間椅子」は2位につけています。いかにも乱歩キャラといった性的な歪みをもった醜い椅子職人の男が主人公で、注文を受けた椅子の中に人間が隠れられるような空白がある仕組みを作り、椅子越しに女性が座ることを喜ぶ……といったストーリーです。気持ちの悪い話ですが、皆さん怖い物見たさもあるようですね。
人気の谷崎潤一郎も充実のラインナップ
おすすめしたい青空文庫作品:痴人の愛
耽美で華美な文章で綴られる少し性的なストーリーが人気の谷崎潤一郎の作品も少しづつ充実してきています。長編の「痴人の愛」は1番人気で、若く美しい15歳の少女ナオミに翻弄されてく28歳の青年の情愛がつづられた作品です。映画・舞台化もした人気作品です。谷崎潤一郎の作風がよくわかる1冊となっています。
おすすめしたい青空文庫作品:武州公秘話
谷崎潤一郎作品は「武州公秘話」もおすすめです。一瞬古文や漢語に戸惑いますが読み進めていくと展開の緩急やいつもの谷崎小説をさらに濃くしたようなエッセンスに先が読みたくて仕方なくなります。ただし、美しい女性が生首を洗うなど残虐なシーンもありますので苦手な方は要注意です。
たくさんの民話で民俗学の勉強も
おすすめしたい青空文庫作品:遠野物語
「遠野物語」は岩手県の民話や逸話119本をまとめた1冊です。当時の森深く山険しい岩手に語り継がれていた妖怪、怪異、幽霊、神隠しなどといったモチーフが生かされており、まるで大人版「日本むかし話」を読んでいるような楽しさがあります。
おすすめしたい青空文庫作品:日本の伝説
同じく「遠野物語」と同じ著者である柳田國男の「日本の伝説」は、民俗学に精通している著者が全国各地から採集した民話・逸話・伝説を美しい文章でまとめなおした1冊です。伝説を通じて各地の空気に触れ、かつての日本の雰囲気を楽しむことができます。たくさんの短い話が収録されているため、毎日少しづつ読み進める1冊としても向いています。
おすすめしたい青空文庫作品:アイヌ神謡集
アニメ化も予定されている人気漫画「ゴールデンカムイ」の参考文献として挙げられていることから、ファンの多くが手にしたのが「アイヌ神謡集」です。アイヌの少女が集めたアイヌの貴重な神謡が綴られいて、アイヌ問題の際にも注目されました。民俗学の見地からみても重要な1冊です。
推理小説の名作も収録
おすすめしたい青空文庫作品:黒死館殺人事件
前述の「ドグラマグラ」と等しく、長編「黒死館殺人事件」は日本三大奇書の1冊として数えられる推理小説です。探偵が広い屋敷内で事件解決に挑むといったよくある骨子なのですが、その肉付けはありとあらゆる多彩な学問・知識でなされています。そのため、その推理や謎解きも読者が共に考えながら進むといった読書の仕方は到底できないエキセントリックぶりです。
吉川英治の大長編もしっかり読める
おすすめしたい青空文庫作品:宮本武蔵
吉川英治は多数の長編作品を持つ人気作家。テキスト化が大変なため長編作品は短編作品より少ない青空文庫ですが、吉川英治についてはたっぷりと長編を楽しむことができます。まずその一つが長編「宮本武蔵」。江戸時代初期に活躍した宮本武蔵の生涯を綴った作品です。
「スラムダンク」が著名な井上雄彦の作品の1つである「バガボンド」はこの吉川英治版の宮本武蔵を原作として描かれています。そのため、漫画ファンの方にもおすすめの長編です。
おすすめしたい青空文庫作品:かんかん虫は唄う
吉川英治が前妻とのトラブルがあり、半年ほど家出するさなかに書き上げたとされる長編小説「かんかん虫は唄ふ」。映画化もされた人気作品です。横浜の波止場を舞台に繰り広げられるヒューマンストーリーで、吉川英治は歴史長編ばかりではないという引き出しの広さを感じます。
おすすめしたい青空文庫作品:
西暦200年ごろの中国、魏呉蜀の3国の歴史を描いたストーリーが、吉川英治の長編「三国志」です。数ある三国志小説ですが、吉川英治版の三国志はさまざまな漫画・小説のベースとなっている代表的な作品です。三国志を楽しみたい方、勉強したい方の導入部としてもばっちりの長編作品です。吉川英治の作品でも青空文庫では1番人気を誇っています。
ここのところ折を見ては吉川英治の『宮本武蔵』を読み進めており、今さっき完読。素晴らしい小説だった、なにってこれだけの長編を無料でiPhoneで読めてしまう青空文庫すごい pic.twitter.com/UutqFv5XQC
— コーギー@"若ゲイのいたり"配信中 (@dunkogipodcast) November 2, 2017
吉川英治の長編作品は「青空文庫でただで読めていいの?」というほど上質で面白く、かつボリュームがすごいものです。青空文庫でテキストを作成し、書籍のデーターベース化をすすめていってくださっているボランティアの方に感謝ですね。
リライト作品を読み比べる楽しさも
おすすめしたい青空文庫作品:幽霊塔
「幽霊塔」は海外の作家であるアリス・マリエル・ウィリアムソンの「灰色の女」を翻訳し、日本風にアレンジした作品です。時計塔があるお屋敷の財宝を巡り数々の人間の思惑が錯綜し、主人公が巻き込まれていく探偵小説といったジャンルになります。綿密に組み上げられたストーリーはエンターテイメント性に溢れています。
この黒川涙香版「幽霊塔」をアレンジし、また長編を書きあげたのが江戸川乱歩です。現在(2018年1月)にはまだ青空文庫にアップデートされていないものの、今後アップしていく予定のリスト「作業中」には江戸川乱歩版の「幽霊塔」の作品名があります。アップされた際にはぜひ読み比べてみましょう。
さらには黒川涙香版「幽霊塔」をベースとし、「医龍」を代表作に持つ乃木坂太郎も漫画化しています。美麗な絵柄で非常に読みやすくなっていますので、青空文庫で「幽霊塔」を読み終えた後はこちらもお読みになるとさらに楽しめるのではないでしょうか。
ゾッとする怪談・怪奇小説も充実
おすすめしたい青空文庫作品:影を踏まれた女
青空文庫にはゾッとする怪奇小説や怪談、サイコパスなどが登場する作品も豊富にあります。短編小説「影を踏まれた女」は「影を踏まれてしまった、寿命が縮んでしまう」と迷信におびえる17歳の少女・おせきが登場することから始まります。岡本綺堂の文章は読みやすく、サラッとよめてしまいますが読後じわじわと不気味さが残ります。
衝撃的すぎる書き出しの海外作品
おすすめの青空文庫:変身
フランツ・カフカの「変身」は出落ち的というか、書き出しが衝撃的であることが良く知られています。主人公がいきなりベッドの上で毒虫になっているところから始まるのです。ただし、あまりにこの冒頭が鮮烈なため、読んだのに忘れた、最初しか覚えていないという方が多いようです。これを機に青空文庫でしっかりと読みこんでみてはいかがでしょうか。
おすすめの青空文庫:イワンの馬鹿
タイトルからして悪口!?と現代の感覚からすると少し驚いてしまう「イワンの馬鹿」は書き出しにもイワンを馬鹿だと紹介するくだりがあり驚かされました。タイトルがあまりにインパクトが強く、その内容を覚えていないという方が多い「イワンの馬鹿」。それを反映するかのように、青空文庫のアクセスランキングでも上位に位置しています。
あの感動アニメの原作を読んだことある?
おすすめしたい青空文庫作品:フランダースの犬
有名な感動アニメ「フランダースの犬」の原作も青空文庫には収録されています。悲劇的なラストは印象深いものの、イギリスを舞台に描かれたネロとパトラッシュの道中での出来事はあまり思いだせない方は多いのではないでしょうか?少々勇気がいりますが、ちょっと泣きたい時など、可哀想な犬と少年のお話をぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
海外の童話作品は読み聞かせにも使える
おすすめしたい青空文庫作品:
海外の童話作品もちらほら青空文庫には登録されています。イギリス「ジャックと豆の木」やフランスの「シンデレラ」などの海外作品を日本人による翻訳・リライトで楽しむことができます。お子さんがいらっしゃるお母さんの寝る前の読み聞かせなどにもぴったりですね。
おすすめしたい青空文庫作品:アンデルセンの作品
海外の童話作家アンデルセンの作品も豊富に収録されています。さらには「ナイチンゲール」「みにくいアヒルの子」なども今後追加予定です。アンデルセン作品の原本は少し残酷だったりし、お子さんには衝撃的な場合もあります。読み聞かせに使う場合は事前にざっと読んでみてチェックしてみてくださいね。
人気のシャーロックホームズ登場作品も
おすすめしたい青空文庫作品:まだらのひも
イギリスBCCのシャーロックホームズのヒットにより、海外のみならず国内にもシャーロックブームが起きましたが、青空文庫でもシャーロックホームズの長編を楽しむことができます。同じく著作権が切れたシャーロックホームズ作品を集めたサイト「コンプリート・シャーロックホームズ」より、訳が古いという声もありますがそれもまた趣があります。
おすすめしたい青空文庫作品:土色の顔
「まだらのひも(紐)」「土色の顔」などが人気を集めています。シャーロックホームシリーズは70編以上もあり全てを網羅するのは大変ですが、青空文庫には有名どころは揃えてあるので気軽に読むことができます。「土色の顔」はホームズの推理が外れるという珍しい展開!ぜひチェックしてみてください。
海外文学一番人気作品
おすすめしたい青空文庫作品:
青空文庫は、公式アプリなどで閲覧すると「青空文庫月刊ランキング」の項があり、どの作品が多くの人に読まれているかわかります。直近のデータで「カラマゾフの兄弟」は海外作品の中で1位を獲得しています。文豪ドフトエフスキーの長編作品で三兄弟を中心にさまざまな人間関係が錯綜する、読み応えのあるストーリーです。
話題のアプリゲームがきっかけに人気
おすすめしたい青空文庫作品:
海外作品で最近急に人気になっているのが「アーサー王物語」です。「アーサー王伝説」は中世の騎士道について書かれた海外作品で、作品に登場する円卓の騎士たちが人気アプリ「Fate/Grand Order」で人気キャラとなって登場しています。そのためアプリユーザーで、特に女性ファンの方が「アーサー王伝説」に手を伸ばしているようです。
青空文庫で「アーサー王物語」が月間50位にランクインしている辺り、Fateの影響は計り知れぬ
— グレイト斎藤 (@hachidaioh) February 1, 2014
数年前から注目されていましたが、2018年には「青空文庫月刊ランキング」の海外作品ベスト5位にも入ることもある「アーサー王物語」は岩波や角川など各社から発行されていますが、青空文庫版は三省堂から発行された分がテキスト化されています。
大人として読んでおきたいシェイクスピア
おすすめしたい青空文庫作品:ロミオとジュリエット
海外の有名作家といえばシェイクスピア。多くの有名作品がありますが大体のあらすじは知っていても実際に読んだことがあるという方が少ないとよく聞きます。青空文庫には現在シェイクスピアの作品は1作品しかありませんが、今後の追加予定作品(作業中)として「オセロ」「リヤ王」「ハムレット」などが予定されているので楽しみですね。
海外ミステリの名作も充実
おすすめしたい青空文庫作品:マリー・ロジェエの怪事件
「マリー・ロジェエの怪事件」は海外ミステリの代表的作家エドガー・アラン・ポーの作品。香水屋の看板娘がある日水死体であがり、その謎を解き明かすためにデュパンが活躍します。実はこの話当時イギリスで実際に起きた「メアリー・ロジャースの殺人事件」をベースにしたものとなっています。
おすすめしたい青空文庫作品:モルグ街の殺人
同じくエドガー・アラン・ポーの海外ミステリ「モルグ街の殺人」。国内・海外では初めてのミステリと言われており、すなわち推理小説の元祖となります。モルグ街のアパートで母子2人が惨殺された事件を、シャーロックホームズの原型と言われるC・オーギュスト・デュパンが解き明かします。
おすすめしたい青空文庫作品:オスカー・ブロズキー事件
R・オースティン・フリーマンによる海外ミステリの名作「オスカー・ブロズキー事件」も青空文庫で読むことができます。長編ではなく短編なのですが、世界で最初となる倒叙ミステリの形を取り大きな謎が先にあるという構成で、冒頭から引き込まれます。
おすすめしたい青空文庫作品:黒猫
青空文庫のエドガー・アラン・ポーの作品で「モルグ街の殺人」についで人気があるのがこの「黒猫」です。推理小説ではなく短編の恐怖小説で、酒乱の男と黒猫の話です。よく「黒猫が自分の前を横切ると不吉」といったまったくの迷信を耳にしますが、この小説のヒットも加担していたといわれています。とても猫好きにはおすすめできない展開となりますので注意ください。
青空文庫にはおすすめ作品がたくさん!
短編・長編・海外の青空文庫で読める作品をご紹介しました。スマホがあれば通勤通学、空き時間にいつでも読めるのが嬉しいですね。また何より無料という点が非常にお得です。しかしそれもボランティアの方の尽力があってのことですので、感謝したいですね。これからもたくさんの作品がアップされる予定の青空文庫を要チェックです!