生存バイアスの意味は?かかる人の生き方や認知バイアスとの違いを解説
巷には成功者の話が溢れていて、わたしたちはその成功者だけの言葉に注目し盲目的に信じてしまう生存バイアス、それを自分の都合の良いように解釈する認知バイアスという思考の癖に陥りがちです。生存バイアスの意味を知り、そのバイアスにかからない生き方を目指しましょう。
目次
- 生存バイアスを知ろう
- 認知バイアスの意味って何?
- 「体罰のお陰で成功した」と肯定する
- 「必ず儲かる」と勧誘するデータ
- 最近の子供は弱くなったと決めつける
- 企業分析で起こるバイアスの罠
- プロになれば稼げる!という生存バイアス
- エアーバッグの普及にみる生存バイアス
- 宝くじに見る生存バイアス
- 生存バイアスと認知バイアスの違いは?
- 認知バイアスは誰にでもある偏見
- 自分の信じたいものしか信じない
- たまたま仮説に合っただけなのに思い込む
- 見た目に左右され認知バイアスにかかる
- 生存バイアスにかかるのはどんな人?
- 多数派でいることで安心する人
- 自己判断のできない人
- 生存バイアスにかからない為に
- 素直に聞くことも大切
- 敗者に目を向けてみよう
- 期待値を出して予測する
- 生存バイアスの意味を理解しよう
生存バイアスを知ろう
「生存バイアス」とは英語で「Survivorship bias」と言われます。生き残った成功者のみを基準とし、脱落したものや淘汰されたものを無視するバイアスの意味です。バイアスとは「偏り」「偏見」「傾向」「斜め」という意味合いで、考え方や意見が何かに影響を受けて偏ってしまうことをいいます。

ついわたしたちは成功者の話ばかりに耳を傾けて鵜呑みにし、その他の失敗したケースの存在を無視して判断を狂わせてしまいがちです。これから生存バイアスの意味とそれにかかるパターンを解説していきます。生存バイアスの意味を知って、罠に嵌らない生き方を目指しましょう。
「やってみなきゃわからない、かの●●だって挑戦しなかったら成功していなかったはずだ」←生存バイアス。やって失敗した奴、死んだ奴は発言しないし、しても取り上げないだろ?「失敗した奴は黙れ」とか言って。一番必要なのはしくじり先生なんだなあ……。
— ゆるぼっと RTされると喜ぶよ (@yurubot28) June 11, 2018
認知バイアスの意味って何?
生存バイアスは生き残っている成功者だけを取り上げ、あたかも全ての人が成功するという錯覚に陥ってしまうという意味合いですが、それに関連して認知バイアスという思考もあります。認知バイアスとはわたしたちによくある思考の偏りを意味します。所謂「自分を客観的に見れない」思考を言うのです。

認知バイアスは、物事を判断する時自分の損得や感情に左右されたり、それによる決めつけによって考えを歪めてしまったりする思考です。認知バイアスは認知心理学や社会心理学の専門用語として使われていて、生存バイアスもその中のひとつです。ではこれから生存バイアスや認知バイアスにかかる心理パターンを見ていきましょう。
「報道されることが増えた」ことを「その現象が増えた」のと取りちがえる、というのは現代の基本的認知バイアスなのラジね。
— PsycheRadio (@marxindo) June 11, 2018
「体罰のお陰で成功した」と肯定する
生存バイアス:体罰やパワハラの肯定

「厳しい躾こそ教育によい。だから体罰は必要である。」という主張は少なからずあるものでしょう。成功者の「体罰があったからこそ精神的に強く育ち、道を誤らなかった。」と言う話は生存バイアスに陥ることがあります。そのせいで「愛情があれば子供に体罰をしても理解してくれる。」「部下を思ってのパワハラで成長を促している。」と肯定されていくのです。

最近も相撲界で、弟子へのかわいがりと言った名目の体罰が行われ死亡した事件がありましたが、昔も同じように体罰の過程で心身共に被害を受けたり亡くなったりした人がいたでしょう。生き残った一部の成功者と呼ばれる人の話だけで「体罰は必要である」という肯定的な思考に陥るのは違いますよね。これこそが生存バイアスなのです。
「必ず儲かる」と勧誘するデータ
生存バイアス:株式やFXの顧客の声やデータ

株式やFXの顧客の声やそのデータ等も生存バイアスに陥りやすいものでしょう。証券会社やFX会社は「少ない資金で始められる」「3年以上利用すれば、損はない」というようなうたい文句で勧誘しその数字を見せてくるかもしれません。初心者にはとても魅力的で期待が膨らみますが、よく考えてみれば誰もが3年以上投資し続けることができるでしょうか?

冷静に考えてみれば、負けが続けば3年も投資し続けることはできませんよね。資金が尽きればやめてしまう人がほとんどでしょう。投資会社に限らずどんな商売でも、営業活動を有利に運ぶ為のデータを用います。「3年以上利用すれば、損はない」という触れ込みは、生き残った人の生存バイアスなので誰もに当てはまると考えるのは違いますね。
最近の子供は弱くなったと決めつける
生存バイアス:生き残った者だけを基準にする
日常的に見受けられる会話で「最近はアレルギーを持つ子が多い」「昔は熱中症で倒れるなんて聞いたこと無かった」等主張する人がいます。これも生存バイアスにかかった人の意見と言えます。昔は弱い子供や解明されていない病気にかかった大人は亡くなってしまっていたでしょう。今は医療技術も向上しましたし、あらゆる病気が解明されてそれに名前がついたのです。

「最近の子供が身体が弱いのは、親が神経質過ぎるからだ」というような意見や考え方はテレビやインターネット等の情報を元にした偏ったものだと言えます。昔の子供でも身体の弱い子はいましたし、最近の子供が弱いと言い切るのは違います。これこそ自分の周りやテレビ等で取り上げられる生き残った者の言葉のみ取入れる生存バイアスです。

企業分析で起こるバイアスの罠
生存バイアス:成功した企業だけを見る
「起業すればサラリーマンよりも儲かる」という触れ込みがあったとして、企業分析を行う時も生存バイアスに注意が必要です。実際に著名な経営者が書いた本はベストセラーになり、わたしたちはそれを読んで参考にしようとしますが、それも生き残った企業の話にすぎません。その中に失敗例があったとしても、それは成功者の中での話で失敗した経営者は本を書くこともありません。

わたしたちは成功者に注目する心理が働きますよね。未経験者は自分の経営する会社を想像し社長になった姿を夢見て、年収は何倍にも増えるだろうと考えます。しかし実際は軌道に乗らず倒産した会社がどれ程あるかということや、借金を抱えながら何とか経営している会社が存在することを無視している訳です。生存バイアスの罠にかかる理由はそんな成功者の話ばかりが溢れているからでしょう。
中間支援団体が、若者の背中をおしておいて「起業は確率ですから失敗してもしょうがないんです」と言うのは本当に暴力だと思う。自分も「起業ってそんなに大変なことでしたっけ?」っていうのは完全に生存バイアスだし、人に押し付けないように気をつけたい。たまに軽はずみな発言しちゃうからこそ。
— Kenta Aoki (@kentaf4) June 15, 2018
プロになれば稼げる!という生存バイアス
生存バイアス:ごく一部の成功者のみを判断材料にする
子供を小さい頃からしっかりと教育すれば、プロゴルファーになれて賞金を何億も稼ぐ事ができると親が思い込むのも生存バイアスです。プロゴルファーに限らず、プロ野球選手やサッカー選手、ミュージシャンやお笑い芸人など華やかな世界に憧れる人は多いでしょう。この職業につけば間違いなく儲かると信じてしまうのです。

しかし現実はとても難しいです。これらを職業とすると競争はとても厳しく、スポットライトに当たれるのはほんの一握りの人達だけです。例えばミュージシャンを目指していて、プロになれる人はどれ位居るでしょうか?音楽業界でミュージシャンとして稼いでいる人はどれ程居るでしょうか?その中でミリオンセラーを出せる人はどれ程でしょう?その現実を見ないことが生存バイアスです。

プロになれた時点で生き残った成功者ですが、その狭き門をクリアしても何年と持たずに一曲で終わるミュージシャンは少なくありません。何年もヒット曲を出し続けるミュージシャンはほんの一握りなのです。テレビのドキュメンタリーで見る成功者のエピソードだけで「誰にでも成功できる」と思い込む判断んは違いますよね。とても危険な生存バイアスです。
ハングリー精神とやらも生存バイアスかかってるよな
— ホイミン (@tyahanset880) June 12, 2018
大成しなかった選手はハングリー精神なかったのか?ってことになる
エアーバッグの普及にみる生存バイアス
生存バイアス:生存者を基準にして解釈を誤る

とある国でのエアーバッグ普及に見る生存バイアスを見てみましょう。これも「生き残った者ばかりを基準にする」生存バイアスにかかる思考と言えます。その国では自家用車が普及していましたが、安全面の認識が低くエアーバッグは普及していませんでした。そこで国をあげてエアーバッグの普及に乗り出し見事にそれを成功させます。安全面の向上が期待できるはずだったのですが、ある時その国の医師は気付くのです。

「エアーバッグが普及した後の方が救急搬送されてくる事故の怪我人が多い!」と医師は言います。データを調べるとエアーバッグ普及前よりも交通事故の負傷者が増えているのです。しかしこれこそが生存バイアスにかかっていますよね。エアーバッグ普及のお陰で、今までは死亡事故だったのが負傷で済んでいるということで、むしろ死亡事故は減っているのです。意外ですが、この事実になかなか気付けないのです。
宝くじに見る生存バイアス
生存バイアス:成功者を基準にする

例えば「新宿西口を出た所すぐにある宝くじ売り場で午前中に宝くじを買ったら、一等10億円当たった」というニュースがあったとします。一攫千金を夢見る人はきっと午前中にその宝くじ売り場へ行って購入しようとするでしょう。テレビの取材もあるかもしれません。それに影響を受けて長い列ができ購入するまでに時間がかかるでしょう。それで当たる可能性は上がるのでしょうか?

確率で言えば、その売り場は購入者が増えて一等の出る確率は以前より上がるかもしれませんがそれは自分の確率が上がるわけではありません。自分が一等を出す確率はどこで買っても同じなのです。他の人がその時たまたま上手く行ったからといって自分も成功すると信じるのは違います。これこそ生存バイアスなのです。

そもそも宝くじが当たる可能性はおよそ1/1000万だそうで、日本の全人口で言うと約10人程度の確率です。隕石落下の確率よりも低いので、いかに低確率のくじであるか分かるでしょう。「死人に口なし」と言いますが、宝くじに外れた人はいちいち外れたと発言しませんよね。多数いる失敗者は数少ない成功者の影に隠れてしまうのです。成功者の話を鵜呑みにするのは違いますね。
生存バイアスと認知バイアスの違いは?
生存バイアスのパターンを解説してきましたが、成功者の話だけを見る生存バイアスに対して、認知バイアスは自分の都合の良い肯定的な意見ばかりを集めるという意味です。人間なら誰しも起こりうる偏りでしょう。わたしたちは事実と違うことでさえ思い込んでしまうのです。生存バイアスも認知バイアスの内のひとつですが、認知バイアスは色々な場面で表れます。その違いも見てみましょう。

そもそもわたしたちが何かを認識する時、目や耳などで察知してから自分の経験や持っている情報による解釈をしますが、その解釈の時点で自分のいいように捏造していく作用が働きます。それも無意識にです。これが認知バイアスの意味で、脳が当たり前のように幾通りもの解釈をして自分の都合のよいように修正していくのです。ここが生存バイアスとの違いでしょう。
認知バイアスは誰にでもある偏見
認知バイアス:勝手に決めつけてしまう思考
わたしたちの世界では偏見や差別が満ちあふれています。見た目から勝手に相手がどんな人か脳が決めつけてしまうのです。例えば男性と女性が喧嘩をしていて男性が女性を殴ろうとした時、それを見ていた周りの人はすぐに停めに入り暴力は駄目だと大騒ぎになったそうです。逆に女性が男性を殴ろうとした時は、周りの人はそれを見て失笑していたそうで、これも偏見でしょう。

「暴力をふるう」という事実よりも「男性が暴力をふるった」のか「女性が暴力をふるった」のかを見て無意識に判断してしまっているのです。認知バイアスに陥る人は実際事実を見ていても、頭の中で勝手に決めつけて思い込む傾向にあります。
自分の信じたいものしか信じない
認知バイアス:自分のことは棚に上げる
将来のことを考えて大学や企業を選ぶ場合、「有名大学に入ればいい大手企業に就職できる」「大手企業に入れば将来が安心」とそれを検証する時に、自分とって都合の良い意見や情報を集める傾向があります。そうではない意見は受け入れなかったり無視して無かったもののようにしたりしてそれを正しいと思い込むのです。この認知バイアスは無意識に働く思考です。

そしてその大学に受からなかった時や就職に失敗した時、「自分が受からなかったのは不景気だからだ」と自分の失敗には外的要因があると思い込みます。そして同じく他人が失敗した時は「あの人は能力がないからだ」とその人に原因があると決めつけるのです。このような認知バイアスは性別や人種、印象を理由に様々な場面でかかるバイアスです。

たまたま仮説に合っただけなのに思い込む
認知バイアス:たまたまを重要視してしまう

血液型占いは好まれる占いのひとつで、「A型の人は几帳面で面倒くさい」「AB型は変わり者が多い」という話もよく聞きますよね。この情報はとても強力で、どんな「そうではない」情報を提示しても信じられてしまう傾向があります。最初から自分の頭にあるイメージからピックアップして、見たいものを見たいように解釈するのです。事実を受けとめてないことが生存バイアスとの違いです。
【バーナム効果】だれにでも当てはまることがありそうな曖昧で一般的な性格(パーソナリティ)に関する記述を、自分だけに当てはまるものとして受け止めること。(例:「占い」、「性格診断」、「血液型性格診断」など =フォアラー効果)https://t.co/dnVY94Ls2y
— 行動経済学bot (@koudoukeizai) June 16, 2018
世の中には色々な人がいますので、血液型に限らず几帳面ない人は居るでしょうし、自己中心的な人も居るでしょう。そう信じたいから無意識にそれが当てはまる部分を探して「やっぱりA型だと思った」と決めつけ、外れている部分を無視します。雨女や雨男を信じる傾向にあるのも、たまたまの仮説に合ったものを毎回そうだ!と解釈して満足するからです。

見た目に左右され認知バイアスにかかる
認知バイアス:過大評価してしまうバイアス
【ハロー効果】 あることで成功した者や、ある方面の指導者を、直接関係ない他の点でも指導者として評価したりする傾向をいう。良い評価に使うケースが多いが、前科がある人間の行動をすべて悪く評価する場合も同じ。
— ヘイト@成功心理学 (@tnkr441188) June 16, 2018
人は見た目に左右されますよね。Haloは後光という意味で、この通りに「肩書き」や「功績」、「見た目」等に左右され過大評価するバイアスの意味です。「爽やかでハンサムな男性は性格も爽やかで優しいもはずだ」と思い込んだり「こんな綺麗な人が盗みをするはずがない」と信じ込んだり、脳が勝手に修正するのです。この点も生存バイアスとの違いでしょう。

この認知バイアスは実際の行動やその人の能力を見ておらず、自分が見たいものしか見てなく、自分に都合の良いように解釈する傾向にあります。そもそも容姿だけでは情報量が少なすぎるので、足りない部分を自分で埋めてしまうのです。また見た目の第一印象だけでなく、医者だからとか事業に成功したからとか様々な要因にも左右されてしまいます。
生存バイアスにかかるのはどんな人?
これまで生存バイアスや認知バイアスの思考傾向を紹介しましたが、わたしたちは正しい情報を得ていても無意識のうちに偏りや歪みで自分の都合の良いように解釈する傾向にあることが分かりました。そんなバイアスにかかる人にはいくつかの心理パターンがあります。どんな生き方をしている人がかかりやすいのでしょう?

バイアスにかかる生き方①:権威性のあるものに弱い
わたしたちは権威のあるものに弱いと言われています。基本的に勝者に注目する傾向にあり、自分よりも立派と思う人や地位の高い人、著名人の言葉や行動を無条件に有り難く受け止めてしまいます。生存バイアスもその権威や肩書きに左右され、著名な経営者の書いた本や成功を掴んだ人の言葉は正しいというように偏った思考をすることを意味するのです。

しかし冷静に考えれば、全てがそうは言い切れないことは理解できるでしょう。地位のある人や著名人の書く本の内容が全て正しいと思うのは違いますし、自分に当てはまるとは言い切れません。警察官でも犯罪をおかす人は居て、医師の言うことが全て正しい訳ではないでしょう。何を言っているかよりも誰が言ったかという色眼鏡で見る限り、生存バイアスにかかる可能性は高いです。
多数派でいることで安心する人
バイアスにかかる生き方②:多数派に弱い生き方
わたしたちは多数派でいることに安心感を覚える傾向にあります。少数派は何かと批判を受けがちですし、肩身の狭い思いをすることもあるでしょう。特に日本は民主主義国家ですので、わたしたちにとっては当たり前の感覚なのかもしれません。このような心理があることで「多数の支持者が居るので正しい」という生存バイアスにかかる確率が高くなるのです。

自己判断のできない人
バイアスにかかる生き方③:鵜呑みにする生き方
生存バイアスにかかる人の生き方は、物事を自分の頭で考えることなく鵜呑みにすることが多いでしょう。成功者の言葉は「成功者であること」や「多くの人が受け入れていること」という根拠に基づいて正しいと信じきっていて、自分の中で本当に正しいのかという分析は行わないのです。多数派に添っていれば間違いないので楽だと考える傾向にあります。

生存バイアスにかかる人は誰が何を言ったかをベースに判断して、それが正しいか正しくないかを自己分析しません。失敗したとしてもそれが自己判断ではないので、常に人のせいにする生き方になるでしょう。そうならない生き方をしたいものです。
生存バイアスにかからない為に
生存バイアスにかかる人は前述した生き方をする人でしたが、わたしたちはそれにかからない為にはどうすればよいのでしょう?しかしバイアスにかかるのは無意識で、かからないようにするのはなかなか難しいです。バイアスの意味や理屈を分かっていても、この思考に引っかかることが多く結論が出た後に「あれ?もしかして思い込んでいたのかも?」と気付くのです。
バイアスにかからない生き方①:本質を見極める

生存バイアスにかからないようにする為に、わたしたちは成功者の言葉を鵜呑みにしないことが大切です。著名人の書いた本や成功を掴んだ人の話は、わたしたちにとって有り難く勉強になることが多いでしょう。ただそれらの全てが正しいと信じるのは違います。成功者だからと言って何の疑いもなく信じることは生存バイアスにかかりやすい生き方です。

成功者とわたしたちは違います。それが本当に正しいのか、またその生き方や考え方が自分に合っているのか、疑いを持って分析する事が大切です。成功者の言うことだからと盲目的に信じるのをやめ、しかしその情報やアドバイスは有り難く受けとめるようにしましょう。その言葉の本質を見ることが生存バイアスという偏った見方にかからない生き方に近付けるでしょう。
素直に聞くことも大切
生存バイアスにかからない生き方②:聞く耳を持つ
生存バイアスにかからない為に、成功者の話を鵜呑みにしないようにすることが大切だと解説しましたが、それと同時に素直に聞く耳を持つことは大切です。素直な人ほどスポーツ界でもビジネスの世界でも伸びて行くと言われています。素直な人はまず相手の良さや素晴らしさを認めて、自分との差を知りどうすれば良いか考えることができるのです。
人の話を聞き入れ自分の成長の糧にすることを前提にして、自分の頭で考えることが必要です。自分に合った部分を選んだり自分に置き換えて考えてみると、その有り難い成功者の話を自分のものとして解釈することができ生存バイアスにかからないでしょう。

敗者に目を向けてみよう
生存バイアスにかからない生き方③:失敗した人の話にも耳を傾ける
わたしたちは成功者の話だけでなく、失敗した人や途中で脱落した人の話にも耳を傾けなければなりません。世の中には成功者だけでなく、その周りに失敗した人が多く居るのです。生存バイアスは基本的に勝者を讃え勝者の話ばかりに耳を傾ける傾向にあります。かからない生き方をするには、勝者だけでなく途中で脱落した人や失敗した人にも目を向けることが大切なのです。

メディアで注目されるのもスポットライトに当たるのも、トップの一握りのみです。オリンピックのメダリストがよい例でしょう。金メダルを獲得した人の周りには敗退した人、控えの選手だった人、選考でオリンピックに出れなかった人、その選考の前に候補に上がらなかった人、様々な脱落者がいるのです。わたしたちが見聞きできる人はほんの一握りの選手だと分かるでしょう。

世の中には成功者だけでなく失敗者も多く居るのだということをしっかり認識することで成長バイアスにかからずに済むようになります。成功者の話だから間違いないな、儲かるだろうな、と鵜呑みにはしなくなるでしょう。失敗者の存在やその思いをくむことができれば生存バイアスに気付くことができますね。
期待値を出して予測する
生存バイアスにかからない生き方④:確率や統計を知る
わたしたちは確率や統計を理解すると、どんな分野でもより正確な情報を得ることができます。成功者の話は自分にとって正確な情報であるかどうかは自分でよく考えてみないと分かりませんが、それよりも計算によって叩き出された明確な平均値の方が判断する助けになるでしょう。
中でもおすすめなのは期待値を求めることです。期待値とはあることを行った時、その結果として得られる数値の平均値の意味です。期待値を計算できればある程度の結果の予測ができるでしょう。期待値が高ければ自分の求める結果になる可能性が高いという数値が見えるので客観的に判断できますね。

生存バイアスの意味を理解しよう

生存バイアスはこの世に満ちあふれています。わたしたちは気付かないうちにそのバイアスの罠にかかっていることが分かるでしょう。気を付けていてもなかなか避けることのできない偏見です。それでもその生存バイアスや認知バイアスの意味やパターンを知っていれば、その途中でふと気付くことができるかもしれません。そして気付いた時点で考え直してみれば良いのです。

生存バイアスにかからないようにする為にも生存バイアスにかかっているかも?と気付く為にも、わたしたちはその意味を知り、自分もバイアスにかかる可能性があるのだと認めることが大切です。自分が間違っていないと思い込まず、一旦立ち止まって考えるようにしましょう。