高校生の読書感想文におすすめは?すぐに読める本と感想の書き方を紹介
面倒な宿題の代表格と言えば読書感想文ですね。小・中学校と大変な思いをした人も多いことでしょう。高校生になっても読書感想文からは逃げられません。高校生におすすめのすぐ読める本と読書感想文の書き方をご紹介します。対策に役立ててください!
目次
高校生の読書感想文に大切なことは?
夏休みなどの長期の休みの宿題には、必ずと言っていいほど読書感想文が出されます。読書感想文は苦手な人が多く、高校生になっても書かなければいけないと知ったとき、ウンザリとした人もいるのではないでしょうか?

では、なぜ学校では生徒たちに読書感想文を書くことを勧めるのでしょうか?それは、読書感想文を仕上げるために必要な3つの力、本を「読む」、読んだ本から「考える」、考えたことを「書く」という力が学力の根幹として非常に大事なものだからです。

読書をすることで、これから生きていく上で大切なことを学んだり、今まで知らなかった新しい発見をしたりといった人間的な成長を得ることができます。そして、そこから自分が感じ取ったことを他者に分かりやすく伝えるための説得力や表現力を、読書感想文を書くことで育むことができるのです。そのために、高校生になっても読書感想文は必修の宿題なのです。

成長に繋げられることが大切

高校生になりますと、読書感想文とは言えどただ本を読んで感じたことを書くだけでは、先生の評価を得ることはできません。「読ませる文章」を意識して書くことが重要になってきます。小説などを自分なりの視点で読み解いて、自分なりのテーマを設けて考えを深めていくことが、高校生の読書感想文には大切なのです。

高校生の読書感想文に求められるのは、読んだ本から自分なりの課題を見つけ出し、それについて意見を述べ、深く考察することです。しかし、先生からの評価ばかりを気にして読書感想文を仕上げるのではだめです。読んだ本から得たものがどれだけ今の自分を成長させたか、それを表現できる文章力が読書感想文を書くことで身につかなくては意味がないのです。

ハードルが高く感じられる高校生の読書感想文ですが、コツさえ掴めば書き方はさほど難しくはありません。今回は、高校生の読書感想文におすすめの本と読書感想文の書き方についてご紹介します。自分に合った本を見つけて書き方を身につけ、厄介な読書感想文を攻略しましょう。
高校生の読書感想文【本の選び方】

まずは読む本を選びましょう。高校生だからといって難しい本を選ぶ必要はありません。映画や漫画を観てとても感動して心が動かされたとき、その感動や興奮を友達に伝えたいと思ったことはありませんか?伝えたい気持ちが大きいと、読書感想文は楽しく書くことができます。誰かに伝えたいほど心に響く場面がある本を選ぶと良いでしょう。

読む本を決めたら、その本を最低でも3回は読むようにすると、理想的な高校生らしい読書感想文を書くことができます。1回目は純粋に内容を楽しんで読みます。2回目は読書感想文を書くことを意識しながら、心が動かされたところに付箋などの印をつけながら読みます。3回目は、印をつけたポイントについて考えながら読みましょう。

本の選び方①自分の興味のあるジャンルを選ぶ

どのような本を選んだらいいか迷ったときは、自分が興味のあるジャンルを選びましょう。小説には様々なジャンルがあります。青春小説や家族小説、歴史小説や恋愛小説、ノンフィクションなどもあり、それらの中には興味を引かれるものがきっと見つかるはずです。

例えば、テニスが好きならテニスを題材にした青春小説を選んだり、生き物が好きならば動物を扱ったノンフィクションを選んだりすると良いでしょう。自分が好きなことや興味のあることのジャンルの本なら読みやすく、読んだあとに心に残るものが多いので、理想的な読書感想文を書くことができます。
本の選び方②主人公が自分と重ねやすい作品

自分と重ねやすい主人公の本は、読書感想文を書きやすい本と言えます。自分と同じ高校生が主人公であったり、ただ同世代というだけでなく同じような部活に励んでいたりするなど、共通するポイントが多いと主人公の気持ちが想像しやすくなります。ストーリーを理解しやすく、最後まで興味を失わずに読むこともできます。

主人公と立場や考え方が近いと、主人公と同じ目線に立つことができます。主人公を通して、その本が伝えたいことが明確に見えてくるでしょう。それだけストーリーから感じるものも大きく、自分の考えを読書感想文として書いたときに、真に迫った表現がしやすいというメリットがあります。

本の選び方③人間関係が描かれている作品

高校生は子供ではなく大人でもない難しい年頃です。友達との関係や家族の中での自分の存在意義など、人間関係で悩むことも多くなってくる頃ではないでしょうか?そのモヤモヤを解消する意味でも、人間関係にスポットを当てた作品を選んで読書感想文を書くのはいかがでしょうか?

家族愛や人間愛、もちろん男女の恋愛など愛をテーマにした作品は、主人公を自分に置き換えて読むことができます。身近な問題なので心を動かされるポイントも多く、普段はなかなか気づくことが難しい大切な人への思いを噛みしめることができるでしょう。高校生ならではの愛情をテーマにした読書感想文を書くことができます。

本の選び方④目標が生まれる自己啓発本

どうしても小説を読み切る自信がないという人には、自己啓発本を選ぶことをおすすめします。自己啓発本は、必ず夢を実現させる方法であるとか、人生の必勝法であるとか、これをすればこんなにも良いことがあるということが書かれた本のことです。
自己啓発本の良いところは「夢を叶えるための7つの方法」であるとか、「自分を変える10個の習慣」であるといったふうに、方法や習慣の数を決めて章分けした書き方をされているところです。読書感想文を書くときには、その章ごとに自分の考えを書いていけば、面倒な構成を考える手間が省けるのです。
高校生の読書感想文【おすすめの本20選】

高校生の読書感想文におすすめの本をご紹介します。小説が主ですが、どの小説もぜひとも高校生のうちに読んでおいて頂きたい、深く考えさせられる内容です。高校生という多感な時期だからこそ感じられるものがたくさんあるはずです。

本を読むときには感動した場面、強く心に残ったセリフなどのページに付箋などの印をつけながら読むと良いでしょう。そして、なぜ感動したのか、なぜ強く心に残ったのかをメモしておくと、あとで読書感想文がまとめやすくなりますよ。
夏目漱石「こころ」
言わずと知れた夏目漱石の名作です。主人公が親友の好きな人と結婚したために、親友が自殺してしまうという衝撃的な物語です。友情や本当の正義とは何なのか、そして命の大切さについて真剣に考えることができます。人間の心の綾を表現した文章は、高校生の読解力を上げるのにもおすすめです。
ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」
知能に問題があった主人公が脳手術によって天才となり、そしてまた元の自分に戻っていくまでの物語です。映像化されていますのでご存知の人も多いでしょう。あらすじが分かりやすく、すんなり物語に入っていけますのでおすすめです。世の中の格差や知的障害者への差別、そして本当の幸せとは何なのか、高校生にぜひとも読んで考えて頂きたい問題です。
百田尚樹「永遠の0」
第二次世界大戦時の零銭パイロットの孫からの視点で綴られた戦争小説です。当然のことながら、高校生は戦争を知りません。だからこそ、戦争の悲惨さ、もたらす悲しみ、不条理などを学び、平和について考える良い機会ではないでしょうか?戦争を題材にした小説は、自分の意見を読書感想文にまとめやすいためおすすめです。
三島由紀夫「金閣寺」
金閣寺焼失事件を題材にした小説です。放火犯である若い学僧の破滅に至るまでを描いた、青春小説と言えるでしょう。分かりやすい文章が直感的に感覚に訴えてくるため、心をダイレクトに刺激され、多感な高校生ならではの読書感想文を書くことができるでしょう。
ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」
学校という管理された世界と、父との葛藤で押しつぶされそうな少年の姿が描かれた、青春小説です。同世代の高校生には共感できるポイントが多く、読書感想文をまとめやすいでしょう。とても有名な名作ですので、購入しなくても図書館ですぐに借りることができるのもおすすめな点です。
有川浩「図書館戦争」
厳しい検閲が行われている架空の社会で、言論の自由、表現の自由を守るために戦う人たちの物語です。社会派小説として、そして恋愛小説としても読むことができます。最近の高校生は読書離れが起きていると言われています。この作品は読書を、本を愛する気持ちを呼び起こしてくれますのでおすすめです。
アレックス・ロビラとフェルナンド・トリアス・デ・ベス「Good Luck」
主人公が幸福のクローバーを探す物語です。ライバルとは違ったやり方で、どんどんと運気を上げていく姿が描かれています。読書が苦手な人でも引き込まれ、すんなりと読めてしまうでしょう。不安や苦しみ、何をしたらいいか分からない漠然とした思いなど、高校生の時期に抱えがちな悩みを救ってくれる本としておすすめです。
小山龍介「STUDY HACKS!」
効率良く勉強する方法や集中するコツなど、高校生にはありがたいテクニックを紹介している自己啓発本です。自己啓発本は読書感想文を書きやすい構成になっていますので、読書感想文が苦手な人には特におすすめです。勉強に関することだけでなく、日常生活に役立つテクニックが書かれている点も、高校生におすすめしたいポイントです。
瀧羽麻子「うさぎパン」
複雑な家庭環境に生きる主人公が、大好きなパン屋巡りをしながら、いろいろな人との出会いによって少しずつ成長していく青春小説です。特別に大きなことがあるわけではなく、ささやかな、だけどまばゆいそんな日常の物語です。学校と家との往復を繰り返すことが多い高校生に、平凡な毎日の中にも幸せはあるということを噛みしめて欲しい一冊です。
群ようこ「かもめ食堂」
ヘルシンキの街角のある食堂を舞台に、異国の地にそれぞれ1人でやってきた数人の日本人女性たちの、静かで幸福な毎日を綴った人間関係が描かれた小説です。高校生から見たら大人の女性の物語ですが、日本から切り離されて知らない土地で少しずつ周囲に溶け込んでいく様子からは、これから社会という知らない世界に出ていく高校生には何か感じるものがあるのではないでしょうか?
江國香織「きらきらひかる」
うつ病の妻と同性の恋人がいる夫との奇妙な夫婦関係を描いた、一種の恋愛小説です。愛情の形には様々な種類があるということを知ることができます。また単なる恋愛小説としてではなく、誠実とはどういうことか、本当の友情など、大きな意味での愛情について教えてくれるこの本は、高校生のうちに読んでいて損はありません。
田中克彦「ことばと国家」
自分の国の言葉がどうやって成立されたのか、知る人は多くないでしょう。この本は、国家語の成立について学べるとともに、その過程で作り出される言葉の差別についても学ぶことができるノンフィクションです。言語と国、そして言語と文化との深い関係について考えさせられます。特に外国語を学んでいきたい高校生におすすめです。
シャーロット・ブロンテ「ジェーン・エア」
孤児だった女性が、孤独と戦いながら不屈の精神で生き抜いていく物語です。高校生の女子には等身大で読むことができ、感情移入がしやすい作品でしょう。恋愛小説としても楽しむことができます。
東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
ミステリー小説を書くことが多い東野圭吾の作品の中ではファンタジー要素が強く、高校生にも読みやすい作品です。不思議な雑貨店に入り込んだ青年たちが、かつての店主に代わって悩み相談をする、青春や恋愛が詰まった小説です。読んだあと、人生や夢に向き合おうという気持ちが湧いてくる物語は、高校生にぜひともおすすめです。
宮部みゆき「火車」
休職中の刑事が、遠縁の男性に頼まれて彼の失踪した婚約者を捜すところから始まるミステリー小説です。今や当たり前のように支払いで使われることが多いクレジットカードですが、その使い方によっては破滅してしまう危険性があることを教えてくれています。便利な世の中に生きる高校生には、ぜひ読んで考えを巡らせて欲しい作品です。
渡辺淳一「花埋み」
女性が社会に出て活躍する機会が少なかった時代に、苦難を乗り越えて医者になった女性の奮闘する日々が描かれている作品です。どんな逆境にも負けないで自分の信念を大事にして突き進んでいく姿は、これから自分のやりたいことに突き進んでいく高校生の励みになるのではないでしょうか?
吉野源三郎「君たちはどう生きるか」
知的好奇心が旺盛な少年「コペルくん」と、教養のある彼の「おじさん」とのやり取りから、生きる意味を易しく深く得ることができる教養小説です。映像化されていますので、なんとなく内容を知っている人もいることでしょう。タイトルにあるように、自分がどう生きていくかを深く考えさせられますので、高校生のうちにぜひ読んで欲しい作品です。
宮下奈都「太陽のパスタ、豆のスープ」
結婚寸前で婚約破棄されてしまった主人公が、ショックで自信も希望も失った中、やりたいことのリストを作り、1つ1つそれを実現しながら自分を取り戻していく物語です。単純に元気を貰えますし、ありきたりの日常の中に成長するヒントを見つけていく主人公の姿に、高校生だけでなく誰もが共感するでしょう。
辻村深月「島はぼくらと」
島で暮らし、フェリーで本土の高校に通う高校生4人の青春小説です。いずれ島を出ていく4人の高校生たちが、生まれ育った島のことを考えながら自分の進む道を選択していく姿には、進学や就職のために故郷を出ていく高校生なら心を動かされるものがあるはずです。
リリー・フランキー「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
自分にとって大切な人との記憶、そしてその大切な人を失う悲しみを描いた作品です。母親というものは、誰にとっても、もちろん高校生にとってもいちばん身近な存在です。主人公と自分を重ねるだけでなく、作中に登場する主人公の母親に自分の母親を重ね合わせて考えることができるため、胸に迫るものが大きいでしょう。
高校生の読書感想文【読書が苦手な場合】
①実写化されている本を選ぶ

読書がどうしても苦手な人には、本を一冊読み切るのは苦痛ですよね。高校生の場合、部活や塾などで忙しくて読む時間が取れないこともあります。

そんな場合におすすめなのが、実写化されている小説を選ぶことです。映画やドラマなどで観た作品ならば、すでにストーリーが頭に入っていますので、サーッと流し読みをするだけでも読書感想文を書くことが可能です。

②すぐ読める本を選ぶ

読書が苦手な場合、読む時間が取れない場合は、すぐ読める本を選ぶという選択もあります。高校生も読める絵本であったり短編だったりなら、ページ数が少ないのですぐに読み切ることができます。短編はすぐ読める本というだけでなく、書かれているエピソードが少ないために、読書感想文として自分が書きたいことを1つに絞れるというメリットがあります。
高校生の読書感想文【すぐ読める本20選】

高校生の読書感想文におすすめのすぐ読める本をご紹介します。短編小説をはじめ、コミックや絵本などバラエティーに富んだラインナップです。すぐ読める本とは言えど、内容は高校生が読むのにふさわしい濃いものばかりです。気になった本をチョイスしてみてください。
山田詠美「ぼくは勉強ができない」
勉強はできないけど女性にはモテる、そんな高校生男子が主人公の短編集です。主人公が同じ高校生なのはやはり共感しやすく、読みやすいですよね。短い中にも自分がどう在りたいか、どんな大人になりたいかなど、高校生にとって大事な深いテーマが盛り込まれています。
小林多喜二「蟹工船」
プロレタリア文学の傑作として有名な作品です。労働者の苦悩と資本家の傲慢さを知ることができ、すぐ読める本とはいえしっかりと社会勉強ができます。中学校までとは違う高校生ならではの、社会問題に一歩踏み込んだ読書感想文を書くことができますよ。
手塚治虫「アドルフに告ぐ」
コミックですが、小説に負けないメッセージ性のあるすぐ読める本です。ドイツの独裁者ヒトラーを独特の切り口で描いた作品です。読んだ人によって感じ方や捉え方が様々なこの作品を、高校生の感性で読んだとき、またおもしろい読書感想文になるでしょう。
吉本ばなな「キッチン」
唯一の肉親だった祖母を亡くした主人公が、祖母の友人とその母親の優しさに触れて孤独を和ませていく物語です。吉本ばなな独特の言葉のチョイスがおもしろく、あっという間に読めてしまいます。人間関係についての読書感想文を書きたい高校生には、おすすめの本です。
有川浩「クジラの彼」
様々な自衛隊員の恋愛模様を描いた恋愛短編集です。一話が短い短編集はすぐ読める本の代表ですね。普段見ることができない自衛隊の世界を覗くことができ、恋愛に夢中になる年頃の高校生には、最後まで飽きることなく読み切ることができるでしょう。
川口俊和「コーヒーが冷めないうちに」
過去に戻ることができる不思議な喫茶店を舞台にした、オムニバス形式の短編集です。文章が硬くありませんので、サラリとすぐ読める本です。1つ1つが印象に残るストーリーですので、1つの話だけに的を絞って細かい読書感想文を書くのもよし、全話を読んで内容の充実した読書感想文を書くのもよしです。
あさのあつこ「バッテリー」
野球のバッテリーにスポットを当てた、部活を頑張っている高校生におすすめの青春小説です。すぐ読める本の中でも物語の展開がスピーディーで、とても読みやすいです。部活に青春を捧げる高校生ならではの、友情についての読書感想文を書くのにピッタリの作品です。
辻仁成「ピアニシモ」
コンクリートジャングルに生きる孤独な少年の絶望と夢、そして成長を描いた作品です。大人でもない子供でもないという複雑な心を持つ高校生の時期に、自分を客観的に見つめ直すきっかけをくれる、おすすめのすぐ読める本です。
又吉直樹「火花」
お笑い芸人2人が笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩む物語です。笑いを通して、人間として大切なことを理解させてくれます。又吉直樹のユーモアたっぷりの文章で、あっという間に読み切ってしまうことができるでしょう。
住野よる「君の膵臓を食べたい」

余命いくばくもないクラスメイトの闘病の日記を、主人公が拾ったことから始まる物語です。一見恋愛小説のようではありますが、実は深い人間ドラマを描いています。高校生に、読みやすい文体で人と人との関わりの重要性を教えてくれるすぐ読める本としておすすめです。
ヘミングウェイ「老人と海」
来る日も来る日も1人で小舟に乗って海に出る老漁師を主人公とした、自然の厳粛さと人間の勇気を描いた作品です。自然の強大さについては、このところの自然災害のニュースで痛感している高校生も多いことでしょう。とても有名な名作で、ネットで考察をしているサイトが多い作品ですので、それらを参考にして読書感想文を書くこともできます。
芥川龍之介「蜘蛛の糸」
地獄に落ちた男が、お釈迦様の慈悲によって垂らされた1本の蜘蛛の糸を、自分だけが助かろうと欲を出して独り占めしたために、蜘蛛の糸が切れて再び地獄に落とされてしまうというストーリーです。単純な内容ですが考えさせられることが多く、いろいろな視点から読書感想文を書くことができます。
梨木香歩「西の魔女が死んだ」
児童書として書かれた小説ですので、難しい書き方をされておらずすぐ読める本です。不登校の少女の心模様は、不安定な時期の高校生には共感できる部分が多いでしょう。家族関係を見直すきっかけになるおすすめの一冊です。
太宰治「走れメロス」
言わずと知れた、主人公と親友との信頼と友情を描いた太宰治の代表作ですね。歴史のある作品ではありますが、ストーリーがドラマチックで分かりやすいこともあり、高校生でもすらすら読めて、なおかつ考えさせられる内容の本です。
佐野洋子「100万回生きたねこ」
絵本ですが、内容が深く高校生でも充分に読み応えがあります。何度も生まれ変わっていた猫が、真実の愛に出会ったと同時に生まれ変われなくなるというストーリーです。少しずつ大人に近づいていく高校生の時期に、真実の愛について深く考えを巡らせてみるのはいかがでしょうか?
星新一「ボッコちゃん」
ショートショート集なのですぐ読める本です。ボッコちゃんという不思議なロボットと、それに関わる人たちのお話です。小説というよりブログ感覚で読むことができますので、本よりもウェブ媒体に触れる機会の多い高校生には読みやすいのではないでしょうか?
湯本香樹実「夏の庭」
3人の少年が、人が死ぬところが見たいという理由で近所の老人を見張るというストーリーです。しかし、観察の対象でしかなかった老人は、次第に少年たちにとって身近な存在になっていきます。友情と命の大切さというテーマは、高校生の読書感想文の題材としては鉄板ですね。
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
ジョバンニとカムパネルラの銀河鉄道での美しく哀しい夜空の旅は、あまりにも有名ですね。なんとなくストーリーが頭に入っていますと、読みやすく訴えかけているものも理解しやすいです。友情や命の大切さについてはもちろん、星に興味を持つきっかけとしてもおすすめのすぐ読める本です。
綿矢りさ「インストール」
登校拒否児で引きこもりの女子高校生が主人公の物語は、高校生には共感しやすくおすすめです。大人びてませた男子小学生とのまるで姉弟のようなやり取りも、読んでいて飽きることがありません。
森絵都「カラフル」
自殺を図った少年が他人の体にホームステイし、生前の自分の罪を思い出すというファンタジーな青春小説です。他者の気持ちを考えたり、自分自身を見つめ直したりすることは高校生には大事な瞬間です。そんなきっかけを与えてくれる、すぐ読める本としておすすめです。
高校生の読書感想文【書き方の流れ】

LINEやツイッターなどでは簡単に自分の気持ちを文章にすることができるのに、読書感想文となると何をどう書いていいか分からなくなってしまう、そんな高校生は少なくないでしょう。

高校生の読書感想文は、本を読んだ感想だけでなく、本が投げかけてくる問題提起への自分なりの意見や本から学んだこと、そこから未来に活かしていきたいことなどを書くことが重要です。高校生の読書感想文は、そのポイントと書き方さえ押さえていれば難しいことはないのです。
読書感想文の書き方①構成やタイトルを考える

まずは、最初に読書感想文の構成を考えましょう。構成は「はじめ」「なか」「おわり」の大きく3つに分けて組み立てるとまとめやすいです。

「はじめ」の部分で、本の中で最も印象に残った場面の内容を簡潔に説明します。「なか」の部分で、もう少し掘り下げてなぜ印象に残ったのか、どのように印象に残ったのかを書きます。「おわり」の部分には、読んだ本を通して自分なりに考えたことや、学んだことなどをまとめましょう。

タイトルは、読書感想文の内容に繋がりのあるシンプルなものが良いでしょう。なるべくなら、読書感想文があらかたまとまったあとからつけるようにすると、理想的な良いタイトルをつけることができます。
読書感想文の書き方②書き出しを考える

書き出しは、読書感想文の中で重要な部分です。読む人の心を掴む書き方を心がけましょう。まず、その本を選んだきっかけや理由を書きます。無理にカッコつけて良く書こうとする必要はありません。正直に本を選んだきっかけなり理由なりを書くようにしましょう。

印象に残った登場人物の会話や、自分がその本を読んでいちばん疑問に感じたところから始める書き方も、読み手の意識を引きつける書き出しになり、おすすめですよ。
読書感想文の書き方③本の内容を伝える

書き出しの書き方が決まりましたら、次に本のあらすじを簡潔に紹介していきます。内容を詳しく書くことはおすすめできません。読み手に、文字数を稼ぎたいだけの印象を与えてしまいます。だいたいの内容が分かればいいので大まかに書きましょう。本のあとがきやネットでの本の紹介、書評などを参考にするのも良いでしょう。
読書感想文の書き方④筆者が伝えたいことを書く
読書感想文の読み手は、読書感想文を書いた当人がどれだけ本の内容を理解しているか、筆者が伝えたいことを把握しているかも見ています。本を読み解き深く考察して、筆者が伝えたいことを自分なりに考えて書きましょう。そして、その中で自分が最も感銘を受けた部分、印象に残った場面などを書き出して、なぜ感銘を受けたのか、なぜ印象に残ったのかを伝える書き方をしましょう。
読書感想文の書き方⑤自分の感想を最後に書く

最後に、本を読んで自分が感じたことを正直に率直に書いていきます。本を褒める必要はありません。本の考え方とは違う見方や意見を持ったのなら、それを正直に書きましょう。そして、本を通して学んだことや今後に役立てたいこと、それらを踏まえてのこれからの自身の目標などをまとめていく書き方をします。
高校生の読書感想文【書き方の例】
書き方の例①タイトルの考え方
読書感想文のタイトルは、ゴチャゴチャした長いものより、一目でパッと内容が分かるシンプルなものが望ましいです。本のテーマや目的に沿ったもの、もしくは読書感想文で中心に書きたいものと繋がりがあるタイトルをつけるようにしましょう。

例えば、「本のタイトル」を読んで、「本のタイトル」に出会って感じたこと、私が涙した「本のタイトル」などを意識したタイトルをつけると、高校生らしい読書感想文の印象になります。
書き方の例②書き出しのコツ
文章の書き出しの書き方にはコツがあります。いつもいつも「私は」や「主人公は」などという書き出しですと、パターン化してしまい、あまり高校生らしい読書感想文ではありません。書き出しには少し工夫をして、「そうは言うものの」や「だとすれば」「なぜなら」という書き出しも使って、読書感想文の完成度を上げましょう。

読書感想文は、書き終えましたら必ず読み返すようにしましょう。おかしな書き出しをしていないか、誤字脱字はないか、改めて注意しながら読み返しますと修正点が意外とあるものです。できれば、家の人に読んでもらうことをおすすめします。自分の伝えたいことが第三者にきちんと伝わるか、確認してもらうことができますよ。