アルビノの逆はメラニズム?!白いアルビノVS黒いメラニズムが美しい!!
アルビノとは先天的にメラニン色素を作る遺伝子情報が欠落した遺伝子上の疾患です。ではアルビノの逆でメラニンが大量に生成されるメラニズムを知っていますか?アルビノや逆アルビノの動物は自然界でどう生きているのでしょう?人間にも起こる現象なのかも見ていきましょう。
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アルビノの逆「メラニズム」を知ってる?

古来の日本では、白い動物が見つかると吉兆と言われ、元号が改められるきっかけにもなりました。白い動物は神々しく、神の使いに見えたり、神の意志が反映したものと捉えられたりしたようです。普通に生息しているその種類の動物とは違う、真っ白な動物をネット上でよく見かけるのではないでしょうか?アルビノはメラニン色素が非常に少ないため、全身が真っ白で目も赤くなるのです。

それではあなたは逆アルビノと呼ばれる、真っ黒な動物を見たことがありますか?逆アルビノは名前の通り、アルビノの逆です。正式名称をメラニズムといいます。逆アルビノであるメラニズムも、アルビノと同じように遺伝性の疾患です。白いアルビノも神々しくて美しいですが、黒い逆アルビノの漆黒の肌や毛にはなんとも言えない迫力を感じます。アルビノとはまた違った美しい存在です。

画像は上がアルビノのライオン、下が逆アルビノであるメラニズムのライオンです。ライオンは百獣の王ですから、普通のライオンでも王さまの貫禄があるものです。モノクロの画像ですが、普通のライオンと違い、どちらも神々しさを感じます。白いライオンは天からの使いのような雰囲気を持っています。いっぽうで逆アルビノのライオンもアルビノとは違った、崇高で美しいたたずまいをしています。

私たちは一般にブロンドの髪で皮膚の白い人間は白人、黒い縮れ毛で皮膚が黒い人間を黒人と呼んでいます。では白人はアルビノであり、黒人は逆アルビノなのでしょうか?話はそう単純にはいきません。たとえばライオンにもホワイトライオンという白いライオンがいます。ホワイトライオンがアルビノなのかといえば、答は違います。ではなぜ白いライオンなのにアルビノと呼ばないのでしょうか?

ホワイトライオンやホワイトタイガーと呼ばれる動物は、アルビノではなく白変種と呼ばれます。白変種は色素の減少によって肌や体毛が白化した動物を指します。アルビノとは違い、遺伝子異常の突然変異ではありません。ホワイトライオンの子供も白いライオンです。このように白い肌や体毛が遺伝して続いていく白い動物はアルビノとは言いません。逆アルビノのメラニズムも同様のことが言えます。

私たちはアルビノや逆アルビノの人や動物を見て「美しい」と感じます。しかし、当のアルビノの人や動物にとっては、他の同類と違う肌の色を持っていることは、生きていく上で大きなマイナス面、不利な面があります。その他大勢の中に1頭だけ白いライオンがいたら、とても目立ちます。狩りをして生きていくライオンにとって獲物にすぐに存在がわかってしまう体毛の色は大いに問題なのです。
逆アルビノのメラニズムにおいては、少々事情が違ってきます。姿が黒いと、自然界では夜の闇に隠れることができます。狩りをする動物にとっても、天敵に狙われる動物にとっても黒い体は宵闇の保護色となり、生き残る可能性がより高まります。ただ群れで生活している動物の中で1匹だけ黒い逆アルビノの個体がいると、他の仲間から仲間外れにされてしまいます。1匹で自然界で生き抜くのは大変なことです。

アルビノとは

まずアルビノとはどういう意味なのでしょうか?アルビノは生まれつきメラニン色素を生成する遺伝情報が欠落しています。目の虹彩、体毛、皮膚などが白化してしまう先天性の遺伝子欠陥です。表皮と真皮の間にはメラノサイトという細胞があり、メラニンという黒い色素を作ります。このメラニンは太陽から降り注ぐ紫外線を防ぎ、体を守ってくれる役割を果たしています。アルビノにはそれがほとんどありません。

したがってアルビノは紫外線を長期間浴びているとダメージが大きくなります。人間のアルビノはなるべく紫外線の強い時間帯を避けて外出をしなければなりません。普通の人間より皮膚癌にかかるリスクが高くなります。そのため曇り空の日でも肌の露出を少なくし、日焼け止めクリームでガードしなければなりません。また先天的に視覚的な障害を持っていることが多いです。

人間の中でアルビノである割合は、2万人に1人とされます。黒人なのに白い肌の人がまれに見られます。ちなみにマイケル・ジャクソンはアルビノではなく、尋常性白斑という疾患でした。生まれつきではなく、大人になってから皮膚の色が白くなる後天的な皮膚病です。有名人の中にもアルビノはいます。自分の外見を隠さず武器にしている人たちです。日本人のエンターテイナーでは粕谷幸司が有名です。

その他アルビノで有名な美しい人物にロシア人モデルのナスチャ・クマロヴァが挙げられます。透き通るような美しい肌をしており、その美しい容貌から「エルフの女王」とも呼ばれています。その他、アフリカ系ファッションモデルとして多方面で活躍しているのが、ショーン・ロスです。ロスはビヨンセやケイティ・ペリーのPVにも出演しています。
アルビノの逆である「メラニズム」

逆アルビノであるメラニズムは、アルビノと逆の性質を持ちます。先天的にメラニンが増加し、皮膚や体毛が黒い人や動物のことを言います。黒い色というのは実際よりも体重を重く感じさせます。強さ、圧力、権力などの力を感じさせる色でもあります。さらに黒い色は高級感を与えます。黒い存在そのものが強い自己主張があるので、逆アルビノのメラニズムの動物たちはどれも強そうで美しいと言われます。

逆アルビノのメラニズムは、メラニンが過剰に生成されているため、紫外線によるダメージは受けません。いわゆる突然変異種は体が弱く、自然界で生き残るのはとても大変です。しかし逆アルビノのメラニズムは体が弱いわけでもなく、夜の闇に紛れて生きていくことができるので、とてもタフで生命力があります。免疫力が強く、強い個体である可能性も高いのです。

アルビノの逆「メラニズム」はなぜ発生する?
劣性遺伝による突然変異種

メラニズムはなぜ発生するかを見ていく上で、逆の存在であるアルビノの発生を知ることは重要です。アルビノは「先天性白皮症」「先天性色素欠乏症」と呼ばれます。この疾患は突然変異もしくは染色体劣性遺伝という形式で、子孫に遺伝していきます。生物は両親から1つずつ遺伝子をもらいます。染色体劣性遺伝の症状はもらった遺伝子の両方に異常があった場合のみ、発症する疾患です。

たとえ両親がアルビノでなくても、子供がアルビノになるという現象が起こります。視力が弱い、保護色を持たない、紫外線に弱いという3点の理由から、自然界で生息していくのは難しいとされています。いっぽうで逆の存在のメラニズムはどうでしょう?メラニズムという単語は、ギリシャ語の「黒い色素」を意味する言葉から来ています。
黒いサーバルの撮影に成功、小型野生ネコ、ケニア | ナショナルジオグラフィック日本版サイト https://t.co/KQYGxkFiMV
— パトリック (@patoric_touhou) January 9, 2018
2017年春、ナショナルジオグラフィックに黒いサーバルの写真が掲載されました。サーバルとは小型のネコ科動物で、普通に動物の写真を撮影していてもなかなかお目にかかれません。写真に収められたサーバルは専門家によってメラニズムだと判定されました。野生のネコ科動物の逆アルビノ現象は比較的よく見られます。有名なところではアジアのクロヒョウと南米のブラックジャガーです。

なぜネコ科の動物でメラニズムがよく見られるのかは、まだまだ解明されていません。しかしネコ科の遺伝子にはメラニズムの原因となる8つの突然変異が発見されました。これらはどれも独立して進化してきたと考えられています。ちなみに同じネコ科でも、ピューマにはメラニズムを引き起こす遺伝子がありません。マレー半島の熱帯雨林にクロヒョウは多く生息しますが、中央アジアの砂漠にはほとんどいません。

砂漠にクロヒョウが少ない理由はなぜでしょう?黒い毛皮ですと日差しの強い地域では体温が上がり過ぎてしまうため、メラニズムの個体が生き残りにくいと考えられます。そんなメラニズムのサーバルがケニアで見つかった理由は不明です。ただサーバルは日中には休んでいて、夜に狩りをするため、生息に問題がなかったのだろうと考えられています。

黒いサーバルの写真は動物写真として珍しいだけでなく、動物学的にも非常に価値のある写真となっています。サーバルは「ネコ科のフクロウ」と呼ばれる、夜行性の動物です。大きな耳を駆使して、背の高い草の下に隠れるネズミも探し出すことができます。サハラ砂漠以南のアフリカ全域に生息していますが、夜行性なのでサファリツアーなどで目撃されることがほとんどありません。

アルビノの逆「メラニズム」の美しい動物たち
アルビノの逆といわれる代表例:クロヒョウ

ヒョウは砂漠や熱帯雨林地方に生息するネコ科の食肉種です。クロヒョウは毛が黒い個体で、劣性遺伝によって突然変異した黒変種です。クロヒョウという種が存在するわけではありません。突然変異のため通常のヒョウでも発生します。ヒョウ特有の斑紋があることは、赤外線照射によって確認されています。
アルビノの逆といわれる代表例:ブラックジャガー

ジャガーは北アメリカ南部、南アメリカ大陸に生息するネコ科の食肉種です。ブラックジャガーはジャガーの黒変種であり、ヒョウにとってのクロヒョウと同じ立ち位置にあります。黒い毛並みが凛々しく美しい動物です。
アルビノの逆といわれる代表例:黒毛馬
俺の中でかっこいいと話題の画像 #メラニズム pic.twitter.com/YzviKGZpFI
— ぱっぱらぴーや🍇 (@piya_Leo) August 4, 2015
漆黒の毛並みをした馬は、実に美しい動物です。一般の馬にはさまざまな毛色があり、体内のメラニン色素によって色が決定します。いちばん一般的な色は鹿毛と呼ばれます。鹿の毛のような茶褐色で、長毛と四肢は黒色です。メラニズムの馬は超自然的な存在とも思える美しさです。
アルビノの逆といわれる代表例:クサガメ
首長いねぇ#クサガメ#メラニズム pic.twitter.com/f4e0Z9o7Tx
— ひろみ (@hiromics) August 20, 2018
クサガメにもメラニズムが見られます。ツイッターにもいくつかの画像がアップされています。クサガメのオスは、成長する過程で虹彩を含めて全身が黒化し、斑紋が消失します。メスも成長するにしたがって体の色が黒くなりますが、斑紋が消失することはありません。クサガメ以外にもミシシッピアカミミガメにも見られる現象です。
アルビノの逆といわれる代表例:メラニズムのワニ
神秘的なうえにカッコ良さをプラスした”#メラニズム”の動物13選 http://t.co/VALp6KHnbY #Globalchannel #かっこいい #アルビノ #メラニズム #神秘的 pic.twitter.com/JSOhl9zGhV
— Global channel (@globalchannelx) March 11, 2015
ワニのような爬虫類も、メラニズムの動物は比較的多く見られます。蛇やトカゲなどにもメラニズムは存在します。白い蛇は神格化されていますが、この漆黒のワニも神々しさがある美しい動物です。普段は気になる凶暴そうな歯や不気味なウロコは不思議と気にならず、強さと美しさが印象的です。アルビノも逆アルビノのメラニズムも、まさに生命の神秘です。
アルビノとメラニズムの対比
最近アルビノの反対?のメラニズムを知ったんだけど、並べるとカッコよすぎてやばい(語彙力)#アルビノ #メラニズム pic.twitter.com/U0GHXU6x4q
— えれなっぽい@ps4復帰😭 (@Elena_R6s) July 9, 2018
メラニズムを美しいと思う時、その対局である逆の存在、アルビノと並べてみることをおすすめします。アルビノとメラニズムは対極の存在にあります。まだまだアルビノのほうが知名度がありますが、メラニズムも希少種であり、存在の少なさ故に感じる孤高のたたずまいが美しいのです。
白いアルビノの逆である「メラニズム」の特徴
黒変種とメラニズムの違い
富士サファリパークの黒ヒョウ(=^・^=)4枚目の写真はヒョウ柄くっきり見えるように撮れました( ^ω^ )かっこいいなぁ。惚れ惚れ〜♡ #富士サファリパーク #黒ヒョウ #黒豹 #動物園 #Nikon #nikon1j5 pic.twitter.com/dMlcWoEVqy
— こと@9/2貪欲会❤️ (@kotomin222) June 30, 2016
クロヒョウやブラックジャガーを「メラニズム」の美しい動物として紹介しましたが、正確にはこれらの動物はメラニズムではありません。正確には逆アルビノのメラニズムではなく黒変種です。逆の存在であるアルビノと白変種の関係と同じです。ホワイトライオンが白変種であり、アルビノでないので種として存続していくことができます。アルビノは虹彩が赤いのが特徴ですが、白変種は黒いという違いもあります。

たとえば馬の逆アルビノのメラニズムは、美しい漆黒の毛色をしています。馬の毛色は先に紹介した鹿毛の他、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、栗毛、栃栗毛、芦毛、白毛、佐目毛、河原毛、月毛、粕毛、薄墨毛、駁毛と14種もありますが、黒毛というのはありません。馬の黒毛は突然変異種か劣性遺伝種であり、逆アルビノのメラニズムです。
アルビノの逆である亜種「メラニズム」の謎

私たち日本人は、純粋にアルビノや逆アルビノを「美しい」と感じます。さまざまな人種が暮らしている西欧では、もっと気軽に受け入れられています。確かに美しさは秀逸ですが、自分たちと違う存在だとは感じていません。しかし世界には、アルビノや逆アルビノを異物と判断し差別している場所も存在しているのです。
タンザニアのアルビノを徹底的に調査し、彼らを助けたい。 @ready_forさんから #クラウドファンディング https://t.co/GeBfqphqyU
— 剛田剛子(齋藤 路恵) (@saitom11) September 29, 2017
世界には約2万人のアルビノの人間がいると言われています。その多くがアフリカ南東部に集中しています。その中でもタンザニアは、国民の1400人に1人がアルビノと言われています。タンザニアがアルビノの発祥地ではないかと言われてもいます。しかしそのタンザニアでは、国際社会から批判が巻き起こっている、アルビノ狩りが行われています。アルビノの人たちを傷つけたり殺したりしているのです。
あなたは『アルビノ』についてどれほど知っているでしょうか?肌がやけに白い人たちと思っているだけではありませんか?今回はアルビノについて分かりやすくまとめ、さらにタンザニアで相次ぐ『アルビノ狩り』についても話していきます。https://t.co/qtAfmlcSgP
— ワラウクルミ@ブロガー (@waraukurumi) May 16, 2018
タンザニアは黒人の社会です。アルビノの人が生活していたらそれは目立つでしょう。タンザニア人は自分たちと明らかに容貌が違うアルビノの人の誕生は悪運をもたらすと信じてきました。いっぽうでムチャウイと呼ばれる呪術師がアルビノの人の体の1部を幸運と繁栄を呼ぶ薬だとして使用するという、なんともおぞましい風習があります。
去年リリースされた時期に翻訳されたページがありました!
— アクセル長尾 (@axelnagao) July 13, 2018
タンザニアで迫害されるアルビノの命の歌|ニューズウィーク日本版 https://t.co/oGWhBScHO0
西洋諸国から遠く離れたタンザニアでは医療が発達していない時代に、ムチャウイが頼れるべき全能の医者でした。これは世界的に大きな問題になっています。現在でも多くのアルビノの人たちが危険にさらされているのです。このためタンザニアでは、アルビノの子供が生まれた場合、差別や虐殺を逃れるために親が殺してしまうこともあります。アルビノについての正確な知識は世界中でまだまだ不足しています。
アルビノの逆は人間にもあり得る?

先進諸国では、アルビノの人が認知されてきています。アルビノに対する差別もなく、むしろ神々しい存在としてアルビノの人たちが活躍しています。そこで当然な疑問が湧きます。アルビノの逆であるメラニズムの人間もいるのでしょうか?先に述べた通り、白人がアルビノ、黒人がメラニズムという判断は間違っています。劣性遺伝や突然変異で生まれたメラニズムの人はいるのしょうか?

「メラニズム・有名人」でネットで検索をすると、だいたいヒットしてしまうのが、画像の松崎しげるです。確かに肌はかなり黒いですが、彼はメラニズムではありません。実際に逆アルビノの有名人は今現在、存在していません。動物の中にメラニズムがいるのと同様、人間にメラニズムがいても不思議ではありません。彼らが注目を浴びる未来に、ネガティブな思想が起きないように祈るのみです。
アルビノもメラニズムもかけがえない命である
圧倒的少数派であるアルビノとメラニズムですが、その神々しい美しさは秀逸です。しかし生きていく上で、偏見や困難に立ち向かわなければなりません。動物の場合は仲間外れにされるケースも多いです。人間の場合は悲しい迷信に苦しめられている人もいます。珍しい存在として見るのではなく、立派なひとつの命として敬意を払い、触れ合っていきましょう。