グルーポンおせち事件はその後どうなった?改善して再開したその後は?

2010年末から起こったグルーポンおせち事件を知っていますか?クーポンサイトで手に入れたおせちがスカスカに少なくてSNS上で大問題になりました。あれから8年近くが経過しています。今のグルーポンとおせちを販売したバードカフェのその後を追いました。

目次

  1. グルーポンおせち事件は衝撃的な事件
  2. グルーポンおせちはみんなが毎年思い出す
  3. グルーポンおせち事件を起こしたバードカフェ
  4. グルーポンおせちは再開している?
  5. グルーポンおせち料理をレゴで再現!
  6. グルーポンおせちグッズも登場
  7. グルーポンおせちネタは風化しない
  8. グルーポンおせちの悲劇は伝説に

グルーポンおせち事件は衝撃的な事件

グルーポンおせち事件とは

あなたは2010年の暮れに自分が何をしていたか覚えていますか?新年の準備に忙しくしながらも、終わろうとしている年を振り返っていたかもしれません。2010年は、夏には広い範囲で記録的な猛暑に襲われました。AKB48の『ヘビーローテーション』が大ヒットしました。朝の連続テレビ小説では「ゲゲゲの女房」が放送されました。人それぞれに思い出が残る2010年の暮れ、事件は起きました。

2011年の始まりの食卓を飾るおせち料理が、横浜市にあるバードカフェという食品店から購入者宅に配達されました。しかし届いたのは見本通りの豪華なおせち料理ではなく、重箱がスカスカで料理が少量ずつしか入っていませんでした。しかも33品目あるはずが25品目しか入っていませんでした。4人分の量にはとても満たず、仕切りが崩れており中でおせちがぐちゃぐちゃに混ざっていました。

肉類からは嫌な臭いがし、カマンベールチーズだと言われていたものが、クリームチーズでした。のちにわかったことですが、キャビアとして入れられていたものはよく代替品として使われるホテイウオの卵で偽キャビアと呼ばれるものでした。おせちの購入者は悲しみと怒りを覚えました。しかもクール宅急便で送るところを通常の宅配便が使われ、生ものの肉類は傷んでいました。

このおせち料理は2010年11月25日から27日の3日間、ネット上で売りにだされたものでした。グルーポンというクーポンサイトです。グルーポンで規定以上の人数が共同購入をすると通常21000円の豪華おせちが半額の10500円で購入できるというものでした。もともとの規定人数は100人でした。しかし予約状況が予定より好調だったため、人数は500人に増やされました。

中身の豪華さと値段の安さ、ネット上での効果的な宣伝といった好条件が整い、グルーポンで販売される「バードカフェ謹製おせち」は無事に500人を達成しました。中身は伝統的なお節料理の他、キャビア、あわび、フカヒレ、カニ、生ハムなど洋風の料理もあり、なかなか手が込んでいる印象でした。購入者は来る2011年の正月をこのグルーポンのバードカフェ謹製おせちで迎えようと楽しみにしていました。

しかし2010年年末に配達されたグルーポンのバードカフェ謹製おせちは前述のように悲惨なものでした。配達された家の人たちは衝撃を受け、さらに怒りを覚えました。見本の商品とあまりに違う現物の内容です。ちょうどこの頃、人々のネットでの意識は大きく変わっていました。インターネットの常時接続は当たり前の時代となり、2008年4月23日から日本でもツイッターを使用できるようになりました。

これまでニュースを発信するのは、新聞、ラジオ、テレビなどの媒体でしたが、個人が手軽な手段で情報を発信し、それが世界中に広まっていくといった新しい世界観に生まれ変わっていったのです。それ以前から2ちゃんねるはネット民にとって無視できない存在でした。グルーポンのバードカフェ謹製おせちを配達された人たちが怒りのあまり、おせちの写真を撮り、自身のツイッターや2ちゃんねるにアップしたのです。

当時バードカフェを批判した芸能人

複数の人がツイッターに写真を上げたことで、グルーポンのバードカフェ謹製おせちの事件は多くの人々が知るところとなりました。この騒動は「グルーポンおせち事件」として瞬く間にネットは炎上し、テレビでもワイドショーを中心に大きく取り上げられました。当時発言力の大きかった司会者のみのもんたがバードカフェを批判し、多くの人がそれに同調しました。

グルーポンとは

このグルーポンとは何なのでしょう?グルーポンはクーポンサイトを運営しているアメリカの企業の名前です。2010年の6月4日に日本に上陸し、8月に共同購入型クーポンサイトを運営していたクーポッドを買収してグルーポンの日本法人とし、10月1日にグルーポン・ジャパンと名称が変更されました。

クーポンサイトとは

クーポンサイトは2010年当時、あまり世の中に浸透していませんでした。このサービスは成長を見込める大きな可能性があるものとして期待されていました。このまま便利さやお得さが消費者に浸透して大成功するはずでした。皮肉にもグルーポンおせち事件として有名になったことで、グルーポンとクーポンサイトは悪い方向で有名になってしまいました。

クーポンサイトとは共同購入型のサービスで、購入者がお得に利用できます。販売されている1つのクーポンチケットを複数の人間が購入し、人数に応じて割引率が変動していきます。当初、100個限定でバードカフェという飲食店が、豪華なおせち料理のクーポンチケットを発売しました。

バードカフェとは

バードカフェとは横浜市と藤沢市に店舗を展開していた飲食店です。バードカフェでは当初100個限定でおせちを制作することにしました。定価21000円の豪華おせちを半額の10500円で販売し、クーポン購入者に送る予定でした。しかしもともとは100人が購入予定だったおせちが、最終的に購入者は500人になるほど人気になりました。それがスカスカおせちの原因となりました。

100個のおせちの材料しかなかったのに、500個を用意しなければならなくなったのです。バードカフェでは年末に近づくまで調整に調整を重ねましたが、最終的にはどんな形でもクーポンの購入者におせち料理を送ることを決断し、その結果、広告写真に掲載したおせちの写真と違ったスカスカのおせちを配達しました。あまりの差にネットが大炎上したのは前述の通りです。

当時のグルーポンは個人情報を紛失したり、ショップに無断でクーポンを販売したりするなど、ずさんな経営をしていた企業でした。ネットに投稿された写真がきっかけとなった事件は、8年経過した後も人々の記憶に強く残っているようです。グルーポンおせち事件はネット社会ならではの現象だったのではないでしょうか?その後グルーポンは順調な拡大をしたとは言えませんが、変わらず活動を続けています。

グルーポンおせちはみんなが毎年思い出す

年末になると多くの老舗店や百貨店、はたまたコンビニでもおせち料理の予約販売が開始されます。今や年末に購入するのが当たり前となりつつあるおせち料理ですが、この時期におせち料理の画像を見ると、グルーポンおせち事件を思い出す人は多いようです。豪華なおせち料理の写真だけでなく、少量盛られた食事を見ただけでグルーポンおせち事件を思い出すこともあるのですから、問題は根深いです。

グルーポンの問題点

グルーポンが仕掛けた共同購入クーポンとはどういうものなのでしょう?時間が経過して事件のその後が気になる人々にも関心のある問題のはずです。共同購入システムは楽天市場やYahoo!ショッピングにあるものと同じと考えて構いません。共同購入クーポンは種類も多く、レストラン、美容室、ホテルの宿泊料から果ては資格取得のための教室まで幅広いジャンルが揃っています。

共同購入クーポンはなぜ安いのでしょう?グルーポンおせち事件の時は21000円の半額と銘打っていました。グルーポンのもともとのおせちに21000円の価値があったのかどうかは別にして、共同購入クーポンは50%offは当たり前、すごいものだと98%offとタダ同然のものもあります。安い理由には見込み客が確保できるという点があります。映画館の前売りチケットと少し似ているかもしれません。

このクーポンは事前購入なので、お店側としては高い割引率が実現できます。普通にクーポンを発行しても、実際にお客さんが来てくれるかどうかはわかりません。見込み客が確保できる上、店側は宣伝費などの経費が一切かかりません。なぜならグルーポンなど共同購入クーポンサイトが爆発的な訴求力で宣伝してくれるからです。また店側にはクーポン発行の費用もかかりません。

それはグルーポンなど共同購入クーポンサイトに完璧なシステムが構築されているからです。さらには店側は企画の必要もほとんどありません。グルーポンにおんぶに抱っこで企画までやってもらうことができます。しかしそこに店側が考えてもいなかった落とし穴があるようです。

フラッシュマーケティングの残影

グルーポンが手掛けているサービスはフラッシュマーケティングと呼ばれています。商品やサービスに割引価格がついたクーポンを、24時間から72時間といった短時間でインターネットで販売するというやり方です。もともとAmazonなどで使われた短期間のみ割引を設定した方法とされていました。この商法は大ヒットし、2011年までに230もの企業が参入するネットビジネスとなりました。

しかし競争率が激しく同年末には中小のサイトが統廃合を続け、70サイトにまで激減しました。現在まで残っている共同購入クーポンサイトはリクルートが運営していた「ポンパレ」が運営を終了してからはグルーポンの他わずかしかなくなりました。フラッシュマーケティングには多くのトラブルが報告されています。クーポンは販売場所を提供しているだけなので、購入者は商品の問題は発送後にしかわかりません。

二重価格商法

さらには二重価格商法といった問題点も上がってきます。そもそもグルーポンのおせちは何をもってして21000円の価値があると主張したのでしょう?バードカフェでは以前におせちを販売した経験はありません。通常10000円というからにはいつも10000円で販売している、さらに言うなら10000円で販売したことがあるということになります。5000円で販売しているものをお得感を出すために「通常10000円するものを今回だけ5000円」と謳うなら、それは二重価格商法になります。

実際に販売実績のない価格を提示した場合、虚偽表示したことになり2年以下の懲役または300万円以下の罰金が課されます。バードカフェでは「おせちを作るノウハウがなかった」ことを認めているので、「通常21000円のおせちを10500円」と言って販売した方法は完全に二重価格商法に当たります。

またおせちの中身が予約宣伝、商品サンプル画像と異なっていました。「33品目だと謳っていたのに25品目しか届かなかった」「カマンベールチーズと言われたのにクリームチーズだった」「キャビアと言われていたのに偽キャビアだった」などなど、このおせちの中身は食品偽造に当たる点も大きな問題となったのです。

グルーポンおせち事件を起こしたバードカフェ

購入者へのお詫びはどんな風?

おせち料理といえば和風のもの、洋風のもの、中華のものといろいろあり、現在では老舗料理店が百貨店とタイアップしたりして、豪華なおせち料理を提供しています。コンビニのおせち料理も様々な料理店や有名シェフとタッグを組んで、高クオリティの料理を提供しています。しかしバードカフェという名前は全く有名ではありませんでした。横浜と藤沢に2店舗を構えるだけでお世辞にも大きな会社ではありませんでした。

そもそもバードカフェは食品加工会社ではなく、単なる飲食店でした。バードカフェ自体、過去におせち料理を製造、販売した経験がありませんでした。バードカフェの責任者で当時、社長だった水口憲治氏は「私たちにおせち料理を作るだけの力がなかった」と事件の責任を認めています。そもそも事件前、おせち料理に手を付けた理由が「弁当を作る感覚と同じではじめてしまった」ということです。

しかし事件のその後にネットのあちこちに散らばった画像の中に、バードカフェの店員がおせちを盛り付けている写真がいくつか出てきました。本来なら衛生面に気を遣い、帽子、マスク、白衣、手袋と気を遣わなければならないのに、およそ衛生的とは言えない場所と服装で対処していたことがわかります。実際、当初は100個だった共同購入ですが、最終的に500と膨れ上がりました。それが事件の大きな原因でした。

明らかにバードカフェのキャパを超えていました。水口氏は当時キャンセルも考えたそうです。しかし配送業者が取りに来るタイミングが迫り、注文をした人に電話連絡をするのも間に合わない状況の中、できるところまでやろうという判断になったそうです。「その日のことはあまり記憶がない」と水口氏は事件のその後のインタビューで振り返ります。

大パニックの中で作られ、発送されたおせち料理は4人前500個の充分な中身を用意できるわけもなく、中身はスカスカ、仕切りは適当、料理はぐちゃぐや、肉や魚は腐りかけといったひどい内容となってしまいました。その後、年始になって再び届いた客もいたそうですが、2つ目のおせちも中身はスカスカでぐちゃぐちゃだったそうです。お詫びのつもりか配送ミスかはわかりませんが、飲食業としてあってはならない体制でした。

水口氏はバードカフェのブログにて事件の謝罪文を発表し、購入者に対して全額返金する旨を発表しました。その後グルーポンではお詫びに5000円相当の商品を用意すると約束しました。2011年1月2日のブログで水口氏は1月1日をもって社長を辞任したと公表しました。これで一応、事件は終焉したかに見えました。

しかし事件後もネット民は水口氏を放っておいてはくれませんでした。水口氏の代わりに社長になった人物が水口氏の父親であったことがすぐにわかり、事件後も結局は何も変わらない、バードカフェは事件に関して全く反省をしていないといった流れになっていきます。事件を受けその後、2011年1月の初旬に衛生問題でバードカフェに立ち入り調査が入りました。
 

また事件を契機に景品表示法違反だったかを問うため消費者庁がグルーポンとバードカフェを運営していた外食文化研究所に事情聴取を行いました。バードカフェの2店舗は正月から閉鎖され、再開することなく休業状態になります。ここまでが報道をされた事件とその後の話です。しかしその後、横浜と藤沢にあった2店舗、特に横浜にあった店の方にいろいろな動きがありました。

再開して閉店してまた再開する繰り返し

まだ事件の余韻が冷めやらぬ2011年2月、バードカフェ横浜店の跡地にTHE GRANCH(ザ・グランチ)という飲食店が入りました。藤沢店の跡地には「フジサワ・キッチン」という店舗が入りました。ところがザ・グランチの求人募集記事の中に再びバードカフェを経営していた外食文化研究所が店舗の名前があり、事件のその後に店舗の名前を変えただけで再開したのではないかと噂が広まります。

事件後まだ間もないことからネット民が外食文化研究所の名前を忘れることはありませんでした。ネット上で再びプチ炎上状態になってしまい、再開もむなしくザ・グランチは閉店してしまいました。その後3月に藤沢店のフジサワ・キッチンが開店します。そして東日本大震災を経た4月、横浜店の跡地にOKANO HOUSEがオープンします。

しかしOKANO HOUSEも店のぐるなびのURLがバードカフェと同じだったということから、水沢社長が店名を変えて再開したのだとばれてしまいます。そんな経緯からかその後OKANO HOUSEはいつの間にか閉店してしまいます。しかし水口社長は店の再開を諦めることなく、再び店舗名を変更します。これが「チーズ工房カマンブルー」でした。

チーズ工房カマンブルーはイタリア料理店でした。内装はバードカフェと同じようなもので、ぐるなびなどに登場するようになります。この店の電話番号が外食文化研究所と同じであったことから、水口社長がまた名前を変えて店を再開したと、多くのネット民が取り上げました。チーズ工房カマンブルーの写真と共にグルーポンのスカスカおせちの写真が掲載され、再開をネット民が歓迎していなかったことがよくわかります。

そのせいかどうか不明ですが、チーズ工房カマンブルーは数カ月でまたもや閉店してしまいます。次に水口社長が再開したお店の名前は「green+」というものでした。この店が水口社長が店を再開したものだとわかった理由というのが、3日間にわたって従業員を募集していた求人サイト情報によるものでした。サイトは作成中で企業名は書かれていませんでしたが、連絡先電話番号が外食文化研究所と一致しました。

この結果、事件の後バードカフェは1年のうちに4回も名前を変更しただけで再開していたことが判明してしまいました。2018年6月現在、バードカフェの跡地には「いきなりステーキ」が営業しています。閉店しては名前を変えて再開を繰り返していた水口社長ですが、外食文化研究所は「SURF CAPP inc.」と名前を変え、その後神奈川県内にいくつもの店舗を構えるまでになりました。

ところが2014年にSURF CAPP inc.が経営する茅ケ崎の店「串焼きBARプクプク」で食中毒事件を起こしてしまいます。この食中毒事件でグルーポンおせち事件を思い出した人々は、「バードカフェ系列で食中毒事件が起きた」と騒ぎ立てました。とことん運がないのか、バードカフェ時代からその後も悲劇は続きます。しかし水口社長は諦めませんでした。

グルーポンおせちは再開している?

グルーポンおせちのその後

ここで水口社長の人生を大きく狂わせたグルーポンのその後を見ていきましょう。グルーポンはスカスカおせち事件を重要視し、その後おせち料理のクーポンを売り出すことはなくなっていました。そして事件から4年が経過した2014年11月、グルーポンはついに再びおせち料理の再開に動き出しました。

グルーポンがおせち料理を再開したのは、安心して商品をお届けできる体制が整ったから、というものでした。銘打ったおせち料理の名前は「ぎゅうぎゅうおせち」でした。再開するに当たり、いつからかネットで言われ続けた「スカスカおせち」を逆手に取ったような名前を付けたのです。再開したおせち料理はどんなものになるか、マスコミや世間は俄然注目しました。

グルーポンが用意した新たなおせち料理は、立派なエビやアワビなどのごちそうがぎっしり詰まっていました。事件に発展した「スカスカおせち」とは比べ物にならないくらいの豪華な見た目でした。グルーポンは再開するにあたり、17種類のおせち料理を用意しました。負の遺産と位置づけた「スカスカ」から「ぎゅうぎゅう」へと変化したグルーポンのおせち料理は、無事に期日まで届けられたのでしょうか?

その後、何か問題が起きたことは確認されていません。ぎゅうぎゅうおせちの発表会でも、根元CEOは「万が一期日までにお届けできなかったり、商品に問題があったりした場合は、代替のおせち商品を速やかに配送できる体制をとっており、万が一の事故にも対応できる」旨を述べました。

各局のワイドショーが取り上げ、ネットでも話題になったことで、ぎゅうぎゅうおせちの注目度はいやがうえにも高まりました。翌年の正月はグルーポンも購入者も無事に迎えることができました。その後のグルーポンの発表によると「トラブルは一切なく、キャンセル分を除く2500個弱を予定通り全て配送できた」ということです。その後、グルーポンでおせちに関するトラブルは聞かなくなりました。

グルーポンおせち料理をレゴで再現!

グルーポンおせちの再開を記念してというより揶揄をした、画像のようなおせちのミニチュアをレゴブロックで何でも作ってしまう主が「神」レベルのレゴを紹介し、大変話題になりました。「実際のグルーポンおせちより美味しそうだ」とか、「あのおせちを買うのならこのおせちを買った方がいい」とかグルーポンおせちは散々の言われようでした。しかしこの再現率は驚異的です。レゴは何でもできると証明しました。

実際、グルーポンおせちはフラッシュマーケティングという手法の性質上、短期間で購入させるメリットを強力に打ち出す必要がありました。そのためにグルーポンおせちのように値引き率を大きく見せようとする販売業者が後を絶たないのも事実なのです。公正取引委員会では「衣料品などの季節商品は1カ月、食料品は2カ月続けて販売した価格」を販売実績のある価格としています。

大手ネット通販の楽天市場は2017年に新たな価格表示のルールを発表しました。2週間以上の販売実績があれば、その価格と割引価格を同時に掲載してもいいというものでした。要するに、販売実績がない価格を値引き前の価格として掲載できなくするルールに変わったのです。

スカスカおせち事件発生当時、グルーポンは「販売の場を貸しただけ」と判断され、行政から処分されることはありませんでした。あくまで販売実績の確認などを行ってからサイトに掲載するようにと要請を受けただけでした。バードカフェの再開問題を見る時、水口社長ばかりが割を食っている気がするといった人はネットの中ではどれほどいるのでしょうか?

グルーポンおせち事件の最大の原因は、おせちを購入できる人が当初100名の予定だったのに500名にまで増やしたことにあります。グルーポンの規約では「クーポンの販売枚数の決定権はグルーポン側にあり、店舗側にはない」となっていました。おせちの売れ行きが好評とみたグルーポン側が勝手に枚数を増やしたという可能性もないわけではないのです。

グルーポン側が勝手に枚数を増やしたかどうかは不明です。しかし営業マンに強気に出られて「伝説を作りましょう!」なんて言われたら気の弱い経営者は無理をしてしまうかもしれません。店舗の許容量を超えた枚数にされたという事態は、おせち事件のような大きな問題にならなくても、結構あちこちに転がっている話かもしれません。

グルーポンおせちグッズも登場

グルーポンおせちフィギュア

ネットに投稿された画像が話題となり、その後中身がスカスカのおせち料理のフィギュアが発売されました。雑な仕切りと飛び散るおせち、1つ1つ丁寧に汚く見事に作られました。このフィギュアはワンダーフェスティバル2011という国内外のフィギュアの展示販売を行う場所で発売されました。1月の下旬の販売だったので3週間弱で制作されたフィギュアということになります。

精巧な作りで金文字の「バードカフェ」の記載も忠実な上「バーカ」と記載されたシールが付属し、風刺の姿勢がバズったフィギュアでした。「スカスカの中身だけど実際の商品画像に忠実に再現されて、非常に精巧な汚らしいおせちフィギュア」と評価が高く、当日に即完売しました。ネット上のフィギュアランキングでも数日間1位を獲得するなど、フィギュア界にも世相が大きく反映されました。

ネットに投稿された画像や文章は自分で保存しなくても、ずっと残り続けます。リツイートが繰り返され、転用に次ぐ転用がなされ、さらには無断でコピペさればら撒かれる時代となりました。1度ネット上に載った写真や文章を撤回するのは難しく、大小様々な騒動に身を置く人も増えたのです。グルーポンおせち事件はそんな時代に起こったものでした。

炎上といった文化も見過ごすことはできません。人の噂も75日と言いますが、ネット上で話題になり、炎上してしまった案件は必ず「有志」と呼ばれる人たちに保存され、何かある度に掘り起こされます。8年も前の事件であり、食中毒騒動後の2015年に水口社長がテレビに出演した時の表示タイトルは「あの人は今」でした。今という時代には、そういったタイトルはあまり似合わないのではないでしょうか?

グルーポンおせちネタは風化しない

再開に再開を重ねた現在

さて、その後の水口社長はどうなったのでしょう?前述の通り2015年10月にフジテレビ系の「全力!脱力タイムズ」に出演します。その時には水口社長は飲食業を再開しており、飲食店13店舗経営、年商7億、年収1500万円と大成功していました。その番組を見た人は「結局は再開したお店の宣伝じゃないか」と皮肉な目で見たといいますが、水口社長の転んでも転んでも倒れない精神はただものではありません。

水口社長のSURF CAPP inc.は今では居酒屋「うる虎」、「いち稟」、「プクプク」、イタリアンバル「ワイン酒場COLTS」、パンケーキ屋「Cinnamon’s Restaurant」はネット上での評判も良く、その後も好調な売れ行きをキープしています。現在はSURF CAPP inc.の公式インスタも公開され、精力的に活動していることがうかがえます。水口社長に対するバッシングのコメントは見当たりません。

グルーポンおせち事件の後、数々のバッシングにもめげず、飲食店を再開し続けた水口社長のモットーは「念ずれば、花開く」だそうです。現在では成功者の部類に入る水沢社長の歩みはこれからも止まることはないでしょう。ネットのバッシングに長い期間耐えてきた水口社長はその間何を念じて、こうして花が開いたのでしょうか?

グルーポンおせちの悲劇は伝説に

過去は消そうとしても消えることはありません。事件が終息したからといって、禊ぎが済んだと勝手に判断するのは危険でしょう。うまい話には裏があるとよく言います。グルーポンおせち事件は「100個程度なら何とかなる」と甘い考えを持ち、実際には販売した経験もないのに21000円の価格を提示したという意識の低さを考え直すためにも忘れてはならない事件なのです。

グルーポンは事業は続けてはいるものの、アメリカでの業績悪化のため2015年に1100人規模のリストラが敢行されました。トルコ、ギリシャ、モロッコ、パナマ、フィリピン、プエルトリコ、台湾、タイ、ウルグアイなどで不調のためサービスの運用を停止しました。2017年にはグルーポン・シンガポールを売却しており企業としては良い状況であるとは言えません。

クーポンの購入者は安い商品やサービスに惹かれて購入します。ほとんどの業者が新規客獲得のために安売りをします。全てはリピーターになって欲しいからです。リピーターが付かなければ商売は利益が出ない仕組みになっています。しかし初回限定のクーポンを獲得した購入者はリピートしてはくれません。またクーポンを求めて回遊していきます。価格で決断した購入者は価格にしか響かないのです。

ネットというサービスが目に見えにくい場では狭い空間内でパイを取り合うだけで市場は広がっていきません。グルーポンに元気がないのはそういった理由も1つあるのかもしれません。

2018年も終わろうとし、再びおせちの季節がやってきました。2019年のお正月を彩るおせちを手に入れるため、客は賢く頭を働かせています。店側も客の立場になり良いサービスを心がけることでしか客の心は掴めません。そういった意味でもグルーポンおせち事件は風化させることなく、客も店側ももう1度よりよいサービスについて考える時に来ているのかもしれません。

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