<3Dプリンター>金属の製法と種類!価格や強度も押さえておきたい!

金属用の3Dプリンターが注目されています。プラスチックを材料とする3Dプリンターは、家庭用も多く普及されていますね。金属用の3Dプリンターの価格が下がれば家庭用が普及するのも遠い話ではありません。今回は金属用3Dプリンターの種類や製法・強度についてまとめます。

目次

  1. 3Dプリンター(金属)<価格帯>
  2. 3Dプリンター(金属)<主な構造•仕組み>
  3. 3Dプリンター(金属)<レーザー焼結製法>
  4. 3Dプリンター(金属)<直接金属レーザー焼結製法>
  5. 3Dプリンター(金属)<レーザー溶融製法>
  6. 3Dプリンター(金属)<電子ビーム溶解製法>
  7. 3Dプリンター(金属)<使用される金属の種類>
  8. 3Dプリンター(金属)<メリット•デメリット>
  9. 3Dプリンター(金属)<銃製造事件>
  10. 金属3Dプリンターはまだまだ進化する!

3Dプリンター(金属)<価格帯>

家庭用3Dプリンターが人気!

プラスチックを材料とする熱溶解積層法式(FDM方式)の3Dプリンターは、家庭用も多く出回るようになり、グッと身近なものになりました。熱溶解積層法式(FDM方式)の3Dプリンターは、2006年に特許が切れたため、価格がかなり安くなり、家庭で手軽に使える商品がたくさん販売されはじめました。家庭用の3Dプリンターの価格は、安いものだと3万円台の価格から手に入るようになりました。

家庭用3Dプリンターで、オリジナルのフィギュアやアクセサリーなどを自作して、モノづくりを楽しむ人がますます増えてきています。自分でデザインしたキャラクターなどが、そのまま立体的なフィギュアになるのは、とても楽しいですし、嬉しいものです。DIYやモノづくりが好きは人にとって、3Dプリンターは、絶対に欲しい商品ではないでしょうか?

金属3Dプリンターとは

金属3Dプリンターとは、その名前の通り、金属を材料とした3Dプリンターのことです。金属用の3Dプリンターなんてあるの?と思う人もいるかもしれませんが、実際に実用化されているのです。プラスチックを材料とする3Dプリンターと同様に、金属用の3Dプリンターにも様々な種類や製法があります。主な金属用3Dプリンターは、金属の粉末を使って積み重ねていく製法です。

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金属用の3Dプリンターは、どのように金属の粉末を積み上げて立体物を造形するのか気になりますよね?金属用の3Dプリンターは、金属の粉末にレーザーを当てたり、ビームを当てたりして、金属の粉末を溶かしながら積み重ねていくという仕組みになっています。金属用3Dプリンターは、種類や製法によって、金属の強度が異なります。作りたい造形物によって、強度の必要性が変化しますから、目的を決めてから金属3Dプリンターの種類や製法を選ぶと良いでしょう。

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3Dプリンター(金属)は家庭用もある?

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家庭用の3Dプリンターというと、プラスチックを材料とする熱溶解積層法式(FDM方式)が一般的となっています。プラスチック用の3Dプリンターは、価格も3万円台くらいからあるため、手の届きやすいものになりつつあるようです。それでは、金属を材料とする金属3Dプリンターの家庭用の商品というのはあるのでしょうか?

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まだ商品数は、それほど多くはありませんが、海外のメーカーが、価格の安い家庭用金属3Dプリンターを販売しています。金属3Dプリンターは、価格が下がったといえども、やはりまだまだ安いものではありません。家庭で使用できる低価格な金属3Dプリンターの価格は、75,000円くらいからとなっています。気軽に購入できる価格ではありませんが、金属を材料に出力できる3Dプリンターとしては、安いと言えるのではないでしょうか?

金属用3Dプリンターには、シルバー・スチール・ブロンズや真鍮などの金属材料が使用できるため、家庭用の金属3Dプリンターがあれば、オリジナルのアクセサリー作りを楽しむこともできますね。アクセサリーの他にも、金属3Dプリンターは、いろいろなものを作り出すことができるでしょう。

家庭用金属3Dプリンターは、Mini Metal Maker、Desktop Metal Studio Systemなど、海外のメーカーの商品が低価格となっています。キャノンやリコーなども金属3Dプリンターは製造していますが、やはりどうしても価格は高くなってしまいます。しかし今後、開発が進めば、低価格で家庭用にぴったりな金属3Dプリンターの種類はどんどん増えていくでしょう。

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3Dプリンター(金属)<主な構造•仕組み>

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金属用3Dプリンターは、金属の立体造形物を作りだす機械です。どのようにして、金属の立体造形物を作りだすのか不思議に思いませんか?金属用3Dプリンターには、さまざまな種類や製法があり、それにより作り出される金属の立体造形物の強度も違ってきます。まずは、金属用3Dプリンターの基本的な仕組みを説明します。仕組みがわかれば、なんとなく金属用3Dプリンターがどのようなものなのかが理解できるはずです。

一般的な金属製品はどうやって作られているの?

私たちの身の回りには、たくさんの金属製品があります。金属製品は、どのように作られているのでしょう?一般的に金属製品は、成形加工・接合加工・切削加工という工程で作られています。

成形加工とは、金属の板を曲げたり、曲げたりする板金加工や、溶かした金属を型に入れて型取をする鋳造のことです。接合加工とは、複数の金属部品をくっつける溶接のことです。切削加工とは、回転する刃物で削り取ることです。このような過程を経て、金属製品は作られているのです。

従来の金属加工では不可能なことができる!

上記で説明した、一般的な金属製品の加工工程では不可能だったことが、金属3Dプリンターならできるのです。そのため、金属3Dプリンターは、画期的な機械とも言われているのです。金属の内部に穴を開けたり、凹凸の激しい、複雑な形状の製品を作ったりするすることは、従来の金属加工では不可能で、できたとしてもかなり費用がかかったり大変な作業になることですが、金属3Dプリンターなら、簡単に作れてしまうのです。

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金属3Dプリンターの仕組み

金属3Dプリンターには、いくつか種類があり、製法が異なりますが、基本な仕組みを説明します。金属プリンターは、材料である金属粉末とレーザーにより動作する仕組みとなっています。まずは、金属粉末を0,02㎜〜0.05㎜くらいに薄く敷き、積み重ねていきます。この敷いた金属の厚みのことを、積層ピッチと言います。

金属粉末に、レーザーを照射し、必要な箇所のみを固めていきます。二次元データの1枚分をレーザーを照射し塗りつぶします。レーザーを照射し塗りつぶした箇所は、1500℃まで上がり、金属が溶けて、固まります。そして積層ピッチの厚さだけ降下させ、金属粉末を敷き、レーザーを照射して塗りつぶすという作業を繰り返します。

この時のレーザーの照射での塗りつぶし方は、メーカーによって異なります。それぞれの層ごとに、レーザーの向きを変えたり、ランダムに塗りつぶしたりすることによって、残留応力を一定方向に加えてしまうのを防止します。固まっていない部分の金属粉末は、また再利用されるため、必要な分の材料しか使用しなくて済むのです。

金属の造形物は、金属粉末の中に埋もれていくような状態で出来上がっていきます。そのため、造形物が、どのような形になっているかを確認することはできません。一番最後の層のレーザー照射の塗りつぶした終わってからでないと、造形物の形を見ることはできません。

金属3Dプリンターで造形物を作るときには、ベースプレートという呼ばれるものの上に造形をしていきます。そのため、金属の出来上がった造形物は、金属のベースプレートに張り付いた状態で出てきます。最終的にこのベースプレートを切り離す必要があります。ベースプレートを切り離すのが、とても大変なことも多く、かなりの時間を要します。

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レーザーではなく、電子ビームを照射する金属3Dプリンターの場合は、仮焼結した金属粉末のブロックを取り出すといったような感じになります。案外、金属3Dプリンターの仕組み自体は、簡単なものなのです。簡単な仕組みではあるものの、最新の技術やテクノロジーが金属3Dプリンターには詰まっているのです。

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3Dプリンター(金属)<レーザー焼結製法>

レーザー焼結製法とは

金属3Dプリンターには、いろいろな種類や製法があります。それぞれ、金属3Dプリンターの種類や製法についての特徴や強度などを説明していきます。3Dプリンター(金属)の種類①は、レーザー焼結製法です。レーザー焼結製法は、金属3Dプリンターではもっともポピュラーなものです。

レーザー焼結製法は、SLS(Selective laser sintering)とも呼ばれます。金属3Dプリンターの種類の一つであるレーザー焼結製法の基本は、粉末状態の金属に、レーザービームを照射して焼結させて立体物を作り出します。レーザー焼結製法には、高い電力のレーザーが照射され、物体の形状に沿って、一層ずつ造形していきます。

レーザーは、本来工場などで切断や、溶接用として使用されていました。固体粉末の融点よりも、低い温度でレーザーを照射すると、固まり、焼結体と言われる物体に変化します。レーザー焼結製法は、この金属の特性を有効利用し、作られたテクノロジーです。

レーザー焼結製法の特徴

一般的な金属製品の作り方である金型や鋳造での成型製法は、熱可塑性樹脂や金属を完全に溶かした後に型に流し入れて、冷却して固めますが、レーザーを照射してできる焼結は、融点よりも低い温度であるため、物体は完全な液体にはならないのです。そのため、形状を保ちながらも物体と融合し、一体化できるのです。焼結によって作られた物体は、緻密であるため強度はかなり高くなります。強度の高い物体を作りたいときは、レーザー焼結製法(SLS)を用いるのが良いでしょう。

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レーザー焼結製法(SLS)は、その材料物質の材質とほとんど同じレベルの材料の特性を実現することができます。金属材料であれば、金属の強度を再現することができますし、プラスチック材料であれば、ナイロンが持つ強度や柔軟性といった特徴を活かすことができるのです。つまり、強度が高く、使用する材料の持ち味や良さを損なうことがないのです。レーザー焼結製法(SLS)が注目されているのは、これが理由でもあります。

レーザー焼結製法の仕組み

レーザー焼結製法(SLS)の仕組みは、金属粉末を敷き、レーザーを照射します。一般的には、金属粉末供給部分が左右にあり、ローラーで金属粉末を供給するようにしながら造形していきます。一層分の造形が終了すると、一段降下して、同様に次の層の造形を開始します。粉末状の材料を使用するため、一般的な3Dプリンターの造形物には必須となるサポート材は不要となるのも、レーザー焼結製法(SLS)の特徴です。

レーザー焼結製法のデメリット

金属3Dプリンター、レーザー焼結製法(SLS)のデメリットは、価格が高いことです。機械そのものがどうしても高額な価格になってしまうのです。高価な価格であるため、簡単に導入することができないのです。そのため、特許満了により、安価な価格の廉価版の登場が期待されています。また、レーザー焼結製法で作られた造形物は、表面の仕上がりがザラザラしているというデメリットもあります。なめらかな質感を実現するのは困難です。

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3Dプリンター(金属)<直接金属レーザー焼結製法>

直接金属レーザー焼結製法とは

3Dプリンター(金属)の種類②は、直接金属レーザー焼結製法です。直接金属レーザー焼結製法(Direct metal laser sintering)は、DMLSとも言われます。直接金属レーザー焼結製法の基本的な仕組みは、先ほど紹介した金属プリンターの種類であるレーザー焼結製法(SLS)とほとんど同じです。レーザー焼結製法(SLS)と、直接金属レーザー焼結製法(DMLS)の違いは、レーザービームの原理です。

レーザー焼結製法(SLS)は、炭酸ガスレーザーが用いられていますが、直接金属レーザー焼結製法(DMLS)は、高出力のイッテルビウムファイバーレーザーが用いられています。イッテルビウムファイバーレーザーは、金属を切断するときなどに使用される高出力のレーザービームです。レーザーの出力の安定性に優れています。また、小さなスポットサイズであっても、造形が可能です。

直接金属レーザー焼結製法(DMLS)では、高出力のイッテルビウムファイバーレーザーが使用されているため、三次元データのスライスから、20マイクロメートルという厚さでの積層が可能で、短時間で精密な造形物を作り出すことができます。

直接金属レーザー焼結製法の特徴

直接金属レーザー焼結製法(DMLS)の特徴は、ほぼ全ての金属合金を使用することができるということです。そのため、最終品と同じ素材で作ることができ、すぐに使用することができ、少量生産にも繋がります。また、従来の金属加工技術では、不可能だった設計を再現することができ、機能性に大変優れています。そのため強度も強めの造形物を作ることも可能です。

直接金属レーザー焼結製法(DMLS)は、金属パーツを多く使用する自動車業界や航空宇宙産業などで注目されている3Dプリンターなのです。直接金属レーザー焼結製法(DMLS)で作り出した造形物は、材料の特性を発揮し、強度も強く、クオリティの高い造形が可能となっています。

直接金属レーザー焼結製法(DMLS)は、精密性が高く、高い強度で、ほとんど全ての金属合金が対応できるため、幅広い産業で重宝されています。航空宇宙産業や自動車業界をはじめ、歯科や医療の現場でも、そのニーズが求められています。直接金属レーザー焼結製法(DMLS)で作られたパーツは、最終品として使用可能な機械的特性を持ち合わせており、さまざまな分野で利用されています。

3Dプリンター(金属)<レーザー溶融製法>

レーザー溶融製法とは

3Dプリンター(金属)の種類③は、レーザー溶融製法です。レーザー溶融製法は、SLM(Selective laser melting)とも言われます。これまで紹介した金属3Dプリンターの種類であるレーザー焼結製法(SLS)・直接金属レーザー焼結製法(DMLS)は、レーザービームによって焼結させて金属合金の造形物を作り出します。レーザー溶融製法(SLM)は、レーザービームにより照射する点は、レーザー焼結製法(SLS)・直接金属レーザー焼結製法(DMLS)と同じですが、溶融することによって、造形物を作り出します。

レーザー溶融製法の仕組み

レーザー溶融製法(SLM)は、上記で説明したレーザー焼結製法(SLS)・直接金属レーザー焼結製法(DMLS)と同じように、金属粉末にレーザーを照射し、固めて造形物を作る仕組みとなっています。しかし、レーザー焼結製法(SLS)・直接金属レーザー焼結製法(DMLS)との最大の違いは、焼結させるのではなく、溶かして積層させる溶融という製法を用いています。

STLベースによって作られた3DCADのデータをスライスし、それぞれの層ごとにレーザービームを照射します。一層を固め終えると、パウダーヘッドというものによって、上から金属の粉末をかぶせ、そこにレーザを照射し、固めていくという作業を繰り返します。

使用されるレーザーは、高出力イッテルビウムファイバーレーザーです。直接金属焼結法(DMLS)で使用されるイッテルビウムファイバーレーザーは、200ワットくらいですが、レーザー溶融製法(SLM)では、400ワット程度の高出力イッテルビウムファイバーレーザーが使用されます。

レーザー溶融製法の特徴

レーザー溶融製法(SLM)は、レーザー焼結製法(SLS)・直接金属レーザー焼結製法(DMLS)と同じように、金属合金を使用して、精度が高く、機械的な強度も高い造形物を作ることができます。また、デジタルデータから、ダイレクトに金属パーツを製造することができるため、一般的な金属製法に比べるとコストや時間が大幅に短縮できます。

レーザー溶融製法(SLM)は、主に航空宇宙産業・自動車産業・歯科エンジニアリング・金型製作の現場、アクセサリーパーツの製作において活用されています。特に注目されているのがしかエンジニアリングの分野です。生態適合性のある金属材料である、コバルト、クロムや、チタンを用いて、歯科用キャップや歯科用モデルが多く製造されています。レーザー溶融製法(SLM)は、機械的強度が高く、精密であるため最終品が製作できるとあって、今後も需要はますます増加傾向にあり、注目されています。

3Dプリンター(金属)<電子ビーム溶解製法>

電子ビーム溶解製法とは

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3Dプリンター(金属)の種類④は、電子ビーム溶解製法です。電子ビーム溶解製法は、EBM(Electron Beam Melting)とも呼ばれます。上記で紹介してきた金属3Dプリンターは、全てレーザービームを用いた積層法でしたが、電子ビーム溶解製法(EBM)は、レーザービームではなく、電子ビームを用いた積層法です。電子ビームとは、高真空中においてフィラメントを加熱し、放電された電子を電磁コイルによってコントロールしながら照射するビームのことです。

電子ビームは、レーザービームよりもさらに高出力で、高速となります。電子ビーム溶解製法(EBM)は、3Dプリンターメーカーとして有名な、スウェーデンのARCAM社が主に製造しています。すでに200以上もの特許を取得している状況です。航空宇宙産業をはじめ、医療などさまざまな分野で使用されている金属3Dプリンターです。

電子ビーム溶解製法の仕組み

電子ビーム溶解製法(EBM)の仕組みは、金属粉末に電子ビームを照射し、溶融させる仕組みです。仕組みの原理としては、レーザー焼結製法(SLS)などと同じです。高真空中で照射する電子ビームは、レーザービームよりも高出力で、高速であるため、より精密で正確な金属パーツを製作することが可能です。

電子ビーム溶解製法(EBM)は、金属粉末全体を一定の温度まで加熱してから、造形させる部分に高融点の電子ビームを照射します。そのため、残留応力による形状変化は起きないと言われています。高真空中での造形温度は、1000度の高温にまで達します。そのため、高精度にパーツが溶融されるのです。使用する金属粉末は、あらかじめ合金化されているため、造形が早いのも特徴です。

電子ビーム溶解製法はARCAM社が有名

先ほども述べたとおり、電子ビーム溶解製法はスウェーデンの3DプリンターメーカーであるARCAM社が圧倒的なシェアを持っています。電子ビーム溶解製法も、ARCAM社の登録商標です。ARCAM社の電子ビーム溶解製法(EBM)種類の金属プリンターは、航空宇宙産業用のARCAM Q20plus、航空宇宙産業のパーツ生産、材料開発用のARCAM A2X、航空宇宙産業と整形外科用インプラント市場用など、それぞれの分野に特化した商品を作っています。

3Dプリンター(金属)<使用される金属の種類>

レーザー焼結製法(SLS)の金属材料

3Dプリンター(金属)の種類①レーザー焼結製法(SLS)の金属材料は、単一ではなく、基本的にコーティングされた粉末材料を使用します。レーザー焼結製法(SLS)に使用される材料である混合粉末材料と言われるものは、ボールミルで粉砕し、それらを混合して作られています。ボールミルというのは、円形型の筒の中に材料を入れて、回転させながら材料を細かくすりつぶす機械のことです。

レーザー焼結製法(SLS)の金属3Dプリンターで用いられる金属材料は、鉄・チタン・銅・その他の合金です。また、レーザー焼結製法(SLS)では、金属材料だけではなく、プラスチック粉末や、セラミック、グリーンサンドなども使用が可能です。金属材料を使用して作られた造形物は、強度が高く、プラスチック材料を使用して作られた造形物は、ナイロン本来の強度やしなやかさを表現することができます。

直接金属レーザー焼結製法(DMLS)の金属材料

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3Dプリンター(金属)の種類②直接金属レーザー焼結製法(DMLS)の金属材料は、ほとんど全ての金属合金の使用が可能です。これが、直接金属レーザー焼結製法(DMLS)の最大の特徴であると言えます。直接金属レーザー焼結製法(DMLS)の金属3Dプリンターに用いられる金属材料の主なものは、ステンレス鋼・マレージング鋼・アルミニウム・チタン・コバルト・クロム・インコネルなどが挙げられます。

レーザー溶融製法(SLM)の金属材料

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3Dプリンター(金属)の種類③レーザー溶融製法(SLM)の金属材料は、ほとんどの金属合金が使用可能です。金属合金をダイレクトに材料として使用し、製作することができるため、精度が高く、機械的な強度も非常に高いパーツが作れます。レーザー溶融製法(SLM)の金属3Dプリンターに用いられる主な金属材料は、チタン・ニッケル・アルミニウム・コバルト・クロム・ステンレス鋼・マレージング鋼・ブロンズなどが挙げられます。

電子ビーム溶解製法(EBM)の金属材料

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3Dプリンター(金属)の種類④電子ビーム溶解製法(EBM)の金属3Dプリンターに使用される金属材料は、主にチタン・コバルト・クロム・インコネルなどが挙げられます。さらに、銅や金属ガラス・ステンレス鋼などが使用できる金属3Dプリンターの開発も現在行われているようです。

3Dプリンター(金属)<メリット•デメリット>

金属3Dプリンターには、これまでの金属製品の作成方法では不可能だったものが作れたり、短時間で作れたりするため、多くのメリットがあり、画期的な機械と言えます。3Dプリンター(金属)のメリットや、今後の課題とも言える3Dプリンター(金属)のデメリットについてまとめます。

3Dプリンター(金属)のメリット

まずは、3Dプリンター(金属)のメリットを紹介しましょう。3Dプリンター(金属)の最大のメリットは、先ほども述べたとおり、従来の金属成形加工や、切削加工では不可能であった形状を簡単に再現することができるということです。また、金属3Dプリンターで製作したものは、強度が高いという特性もあります。

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また、試作品などを作るときも、金属3Dプリンターを使用すれば、短時間で仕上がるため、大幅な時間短縮となり、作業効率がアップします。大量生産の場合でも、少数生産の場合でも、金属3Dプリンターを使用すれば、コストが変わらないというメリットもあります。そのため、試作品や一点ものの型なども気軽に製作することができます

3Dプリンター(金属)のデメリット

3Dプリンター(金属)のデメリットは、金属プリンターの機械自体の価格が非常に高く、また、金属プリンターに使用する金属材料の価格も高いということです。そのため、気軽に金属プリンターを現場に導入するということは難しいのが最大のデメリットと言えます。また、金属の造形に時間を要すため、大量生産には向きません。一つの造形を作るのにも、かなり時間がかかってしまうのもデメリットです。また、金属3Dプリンターの種類によっては、完成した造形物の精度が低い場合もあります。

3Dプリンター(金属)<銃製造事件>

金属3Dプリンターでは、さまざまな金属の造形物を作り出すことが可能です。この金属3Dプリンターの特性を悪用した事件も発生しています。それが、3Dプリンター銃製造事件です。この事件は、2014年5月8日、3Dプリンターで製作した拳銃を所持していた大学職員の男が、銃刀法違反で逮捕された事件です。3Dプリンターを使用して、5丁の拳銃を製作し、その中の拳銃2丁は、殺傷能力があると判断されています。

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3Dプリンターを悪用した事件は、日本だけではなく、アメリカでも頻繁に発生しており、議論を呼んでいます。アメリカでは、3Dプリンターを使用した、拳銃製造方法の動画の公開が差しどめとなりました。銃を合法的な手続きを踏めば、所持することができるアメリカの州でも、3Dプリンターで製作された銃については、追跡不可能で、世界の安全保障に脅威をもたらす「ゴースト銃」になると懸念されています。

3Dプリンターで製作すると違法なモノ

拳銃以外にも、3Dプリンターで製作すると、違法となるモノはたくさんあります。3Dプリンターで製作しただけで、罪に問われるものは、拳銃・貨幣・特殊解鍵用具です。これらは、いうまでもなく、全て犯罪に繋がってしまうものです。便利な3Dプリンターですが、興味本位で、違法なモノを製作しないようにしてください。

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また、私的な利用であれば、問題はないけれど、公共スペースや、インターネットなどで公開すると、罪に問われる可能性が高いものとして、爆発物・印鑑・鍵・殺傷能力のある刃物や鈍器・偽造に該当するもの(系缶バッジや弁護士バッジなど)・わいせつ物などが挙げられます。

上記で述べたような罪に問われるモノや、罪に問われる可能性があるモノは、金属3Dプリンターではなく、現在家庭用3Dプリンターとして普及しているプラスチックなどを材料とした3Dプリンターでも製作できるものばかりです。プラスチック製でも強度の高いモノを作ることは可能です。強度なモノを作れることで悪用することは絶対にやめましょう!

金属3Dプリンターは、より性能が高く強度なモノを作ることができるため、家庭用金属3Dプリンターが流通されるようになると、悪用する可能性がさらに高まります。残念ながら、3Dプリンターの所持を規制した方が良いという意見も挙がっているようです。3Dプリンターを個人的に利用する場合は、しっかりとモラルを持って使用してほしいものです。

金属3Dプリンターはまだまだ進化する!

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金属3Dプリンターの種類や製法、強度などについてまとめました。プラスチックを材料とする3Dプリンターの家庭用商品の普及は広がっており、金属3Dプリンターも家庭用ができることが期待されています。まだまだ金属3Dプリンターは、価格が非常に高く、手軽に購入できるという機械ではありません。

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しかし、プラスチック材料の3Dプリンター同様に、特許切れとなると、安い価格の金属3Dプリンターを作り出すことが可能となるため、期待されています。金属3Dプリンターは、さまざまな可能性を秘めており、まだまだ進化しそうです。今後も金属3Dプリンターに注目していきましょう!

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